熊本地震で “麻生太郎銘柄”がストップ高に
マーケットは常に冷酷、いや冷静だ。過去を振りかえることなく、目の前で起きた出来事を分析して、“未来”だけを見ている。熊本県内で発生した大地震直後も、いち早く復興を見据えて動き出した。
マグニチュード6・5の地震発生から一夜明けた4月15日、東京株式市場では日経平均株価が4日ぶりに反落し、前日比63円安の1万6848円で取引を終えた。マーケット関係者によれば、
「被災地では多くの工場が甚大な損害を被り、トヨタ自動車を筆頭に多くの企業が生産停止に追い込まれました。それでも、東証二部やジャスダック上場企業の中にはストップ高になった銘柄が17もあったのです」
ストップ高になったのは、電気設備工事に定評のあるSYSKENや、橋梁工事専門のコーアツ工業などの建設関係。投資家は、震災復興の“連想銘柄”として買いに走ったわけだ。多くは九州に本社を置く企業だが、神奈川県川崎市内にあり、ジャスダック上場の「麻生フオームクリート」もストップ高をつけた。
麻生太郎副総理
「麻生フオームクリートは、麻生太郎副総理の“関連銘柄”です」
こう語るのは、株式専門紙の記者だ。
「福岡県飯塚市にある株式会社麻生は、麻生副総理の実弟が会長で80社以上を傘下に置く“ASOグループ”を形成している。麻生フオームクリートは、麻生セメントと並ぶグループの中核企業で唯一上場しています」
麻生フオームクリートは1961年設立で、売上高40億円規模の中堅建設会社だが、気泡コンクリート工事では大手だという。
「気泡コンクリートは、住宅の外壁や天井に使われる人気素材です。通常のコンクリートより強度は若干劣りますが、軽くて断熱性に優れ、地震の時でも柔軟性が高い。震災後の住宅建設では、特に需要が高まるはず。それで株価が急騰したのでしょう」(同)
麻生フオームクリートの株価は、4月19日も急騰して前営業日より80円高い517円のストップ高となった。