熊本地震で呟かれたデマツイート一覧 「井戸に毒」「UFO目撃」「人工地震」
『新英和笑辞典』によると、デマとは〈針小棒大に言い、それで生計を立てる〉とある。カネ儲けはともかく人の口に戸は立てられぬのか。過去の混乱期と同様、ツイッターでは根拠なき噂に嘘が飛び交った。もとより、この短文投稿サイトに良識を求めるのは土台無理な話とはいえ、それにしても、嗚呼虚しき戯言の数々……。
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〈おいふざけんな、地震のせいでうちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本〉
という書き込みがあったのは前震直後、14日夜のことだった。ご覧の通り、静まり返った町を1頭のライオンが徘徊する写真が貼付されている。
広告の1シーンのように
そこからは先を争うように、
〈熊本の朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだぞ〉
〈川内原発が火事〉
と、混乱を煽るものが続く。それに加えて、地震学者ならずとも夢に見る“予知ツイート”まで蔓延(はびこ)る始末。たとえば、本震発生後の16日午前3時前に、
〈拡散希望〉
としたうえで、
〈活断層が割れているため12時間以内にM7・4の地震が予想される/12時間以内は家にいないでください/今度の地震はこれまでよりつよい揺れとなります〉
そればかりか、これが「気象庁発の情報」だとするガセ・ツイートも拡がって行くのだ。
さらに悪いことに、
〈午前3時頃に福岡らへんで震度7来るっていう予想あります。ラジオで言ってたらしい〉
〈荷物まとめよう〉
それに相前後して、
〈九州北部と広島県、愛媛県でUFOか火球(大流星・隕石)の目撃情報多数〉
と、SF風の報告がなされる一方で、こんな妄想世界も。
〈熊本の地震は人工地震だよ。安倍政権の陰謀で〉
〈パナマ文書から国民の目をそらすためと考えるのが自然。国民を顧みないアベ独裁政権打倒!〉
評論家の唐沢俊一氏は、
「ツイッターには、情報のチェック機能が備わっていません。したがって、刺激的だったり好奇心をくすぐる情報であればそれだけ拡散しやすい」
とし、こう総括する。
「人はたいてい、情報を得たら正しいか否かではなく、役に立つと思ってそのまま流してしまう。デマは、当事者が良かれと思って展開されるものなのです」
だから性質(たち)が悪いのだ。
「ワイド特集 『熊本地震』瓦礫に咲く花」より
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