山尾志桜里の新たな疑惑 不可解な500万円の移動も「事実関係を確認中」

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 民進党の山尾志桜里(しおり)政調会長が今月6日に行った会見では、地球5周分のガソリン疑惑を“秘書がやった”と述べたほか、公職選挙法違反の疑いのある電子メール送信の件を“後援会名簿に手違いがあった”、選挙区内の施設「さくら館」にまつわる収支を報告書に計上しなかったのは“総支部や後援会の事務所であるとの認識に欠けていた”。しかし、ここで浮上した新たな疑惑にも言及しよう。それは、14年末の総選挙を前にしたカネの動きである。

「選挙運動費用収支報告書」や山尾氏が長を務める「民主党愛知県第7区総支部」の報告書によれば、

11月21日
民主党→山尾氏
政党交付金からの「公認料」 500万円

12月1日
山尾氏→総支部
「寄附金」 500万円

12月1日 山尾氏→総支部 「寄附金」 500万円(「民主党愛知県第7区総支部」の収支報告書より)

12月1日
総支部→山尾氏
「選挙費用」 500万円

12月1日 総支部→山尾氏 「選挙費用」 500万円(「民主党愛知県第7区総支部」の収支報告書より)


 ご覧のように、党から山尾氏へ500万円が振り込まれたのち、資金移動を重ねることで彼女へ還流している。いや、還流という表現はじれったい。つまり、カネの移動がないのだ。

 しかるにどうしてこんなことをしたのか。

「山尾さんから総支部へ寄附することで、申請すれば『寄附金控除のための書類』を受け取れる。そしてこれを用いて、所得税を減らすことも可能になるのです」

 と、これは政治資金に詳しい浦野広明税理士の解説である。

民進党の山尾志桜里政調会長

 議員歳費を2200万円とすると、そこにかかる所得税は約434万円。その一方、寄附金控除を受けた場合は約266万円で、ざっと170万円の税金を浮かすことができる。このシナリオを前提にすれば、

「実際は寄附を行なっていないのに控除を受けていたとしたら、脱税が疑われる」(同)

 ガソリンの件で“犯人扱い”されている渦中の秘書も、この“錬金術”にはびっくりだろう。

「党から彼女への公認料は非課税で、しかも税金が原資となる政党交付金から支出されている。そのうえ法を熟知する検察出身なのですから、一段と高いレベルの倫理が求められるはず」(同)

 さらに性質(たち)が悪いのは、500万円を政治団体ではなく個人に戻している点だ。というのも、パンティ1枚買ったところで本人を除いては誰にもわからないのだから。旧民主党関係者もこう訝(いぶか)る。

「総支部への寄附はよくある手ですが、再び個人に戻すのは不可解。ちょうどあの頃は、“寄附金の控除については意図が見え見えだから慎むように”といったお達しがあったんですよ」

 身内からも出た一連の疑惑を事務所に質すと、過去の疑惑の際と同様、

「現在事実関係を確認中」

 のひとことのみだった。

「特集 ガソリン代は地球9周分! 法と証拠に基づかず秘書をワルにして居座り! 民進党『山尾志桜里』政調会長の嘘と政治資金ミステリー」より

週刊新潮 2016年4月21日号掲載

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