「朝日新聞」押し紙問題 公正取引委員会から注意

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 発行部数の水増しを図るため、新聞社が販売店に買い取りを押し付ける「押し紙」。新聞業界は、いくら追及をされても、その存在を認めずにいるが、ついに公正取引委員会から朝日新聞が「注意」を受けたという。

 4月11日、ネット誌「現代ビジネス」(講談社)が報じたのだが、何が問題だったのかと言うと、話は数年前に遡る。本社営業担当の社員に、販売店が注文の部数を減らしたいと申し入れをしたところ、社員は、再考を促した。この際に行き過ぎた言動があったとして、今年3月末に公正取引委員会が指摘したというのだ。

渡辺雅隆社長が掲げるメッセージは「ともに考え、ともにつくるメディアへ――」

 朝日新聞社広報部は、口頭で注意を受けたことを認めたうえで、

「今回指摘のケースは押し紙にはあたらないと考えておりますが、注意については真摯に受け止めております」

 と回答。とはいえ、公正取引委員会から睨まれたという自覚はあるようで、

「法令順守の徹底を図るため、改めて販売部門の社員に対して独占禁止法順守のための研修などを行いました」(同)

 だが、それだけでは何の問題解決にもならないと言うのは、今回の記事をスクープし、さらに昨年、自身の体験を生かした『小説 新聞社販売局』では、業界の暗部を描いて話題となった作家の幸田泉氏。

「押し紙だと指摘されないよう気を付けろと社員研修しても、実数とかけ離れた部数が設定されている以上、現場はその部数を販売店に押し込むしかありません。発行部数は経営方針で決められているからです」

 そこに手を付けない限り、意味がないと指摘。そして、こう続けるのだ。

「複数の販売関係者に聞くと、朝日の公称部数670万部のうち、3割ほどが押し紙だそうです。つまり、実売は470万部ほど。私は、ここまで部数が減った要因の一つは押し紙だと思います。押し紙によって販売店は営業活動費が減り、部数が減る。しかし本社は発行部数を減らさないので、販売店に押し紙が増えていく。この繰り返しなのです」

 まさに負のスパイラル。

週刊新潮 2016年4月21日号掲載

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