篠田麻里子、秋元才加が紙面に 「朝日新聞」がAKB48を多用する理由

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 セールスのコツは、いかに顧客の関心を惹きつけるかに違いない。だからか、とにかく目立つのである。朝日新聞はこのところ、AKB48の新旧メンバーを頻繁に登場させ、イジメから政治、国際問題に至るまで語らせているのだ。天下のクオリティーペーパーが一体、どうしちゃったのか。

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篠田麻里子

 例えば、今夏に選挙権を得るAKBメンバー3人とジャーナリストの座談会「私たちも投票します」を2月から4回にわたって掲載し、震災5年を機に3月14日には「私は、なんで3月11日生まれなんだろう」と自問しつづけたという篠田麻里子にインタビューしている。

「最近は、なんでもかんでも、AKBを絡ませようとする傾向になっています」

 と明かすのは、朝日新聞の記者だ。

「天皇皇后両陛下が1月に、フィリピンを訪問したときには、フィリピン人とのハーフである秋元才加を登場させ、小学生のときに偏見からイジメを受けたけど、いまでは両国の懸け橋になろうとしていると紹介した。さらに、昨年末に掲載した〈韓流と嫌韓のはざま〉というオピニオン記事では大島麻衣に、“韓国の同世代の友人に、日本人は好きだけど日本は嫌いと言われる”と喋らせています」

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 なぜ、これほどAKBに入れ込んでいるのか。

 ベテラン社員によれば、

「もともと、AKBと関係が深かったのは読売でした。初の選抜総選挙が行われた2009年秋から、前田敦子が卒業する12年夏くらいまでの期間、『AKB48の私服サプライズ』という記事を連載していた。うちとしても、人気絶頂の彼女たちを取り込めないかと機会をうかがっていたのです」

高橋みなみ

 そこに、創成期からの大ファンだった記者が文化部に異動してきたという。

「彼は、AKBの広報を一手に担う、秋元康さんの弟と親しかった。弟は年に1回、親しい記者をアンコウ鍋ツアーというものに招くのですが、それにも参加していました」(同)

 3年前、その記者が、週1連載の「AKB的人生論」(その後、リニューアル)をスタートさせた。

「とりわけ、デジタル版には、紙面に載せられなかったインタビューや動画などもアップしました。そのすべてのコンテンツを見るには、有料の会員登録をしなければならない。そこで、どの記事が会員登録に繋がっているか、調査したところ、やはりAKBのものでした。その反響の大きさから、他の記事でも彼女たちを使うようになったわけです」(同)

 慰安婦誤報問題の起こった2年前、約710万部だった部数は、現在、約670万部に下落。それに歯止めをかけるべく、若い世代への呼び水としてAKBを利用しているという。

 しかし、朝日新聞OBで、週刊朝日元編集長の川村二郎氏はこう指摘する。

「若者に媚びるような記事をつくれば、朝日のコアな読者は逃げていってしまうかもしれません。かつて、“あなたが読みたい人を募集します”と、紙面に社告を出したことがあった。それには、御用聞き新聞になるのかと憤慨した。今度のAKBの記事と同じで、記者が、読者からの求めに応じてどうするのか。本来、新聞とは、記者が面白い人を見つけてきて、取材した記事を読者に提供するものではないでしょうか」

 得るものと失ったもの、果たして、どちらが大きかったのか。

「ワイド特集 櫻の樹の下には」より

週刊新潮 2016年4月14日号掲載

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