五輪どころじゃない ブラジル全土で大規模デモ 政権崩壊は秒読み

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 下の写真をご覧いただきたい。サンパウロの大通りを埋め尽くす人・人・人……カーニバルではなく、何とデモである。ブラジル全土で300万人以上が大統領の弾劾を求めたのだ。

カーニバルではありません

 陽気なブラジル人が何を怒っているのか。

「小学校卒で大統領に就任、国民的人気を誇ったルラ前大統領が空前の規模の汚職に関与したとして訴追され、ルラ氏の愛弟子ルセフ現大統領にも政府会計の粉飾疑惑が噴出、国民の怒りが爆発したのです。しかも現大統領はルラ氏を官房長官に起用すると宣言、怒りに油を注ぎました」(国際部記者)

 ブラジルで閣僚を起訴できるのは最高裁が認めたときのみ。大統領が前大統領を庇ったと見なされたのだ。

「連立していた最大政党も政権離脱し、大統領の弾劾に回るとあって、もはや政権崩壊も秒読みです」(同)

 五輪担当大臣に続いて警備担当責任者である国家治安軍司令官も辞任、連邦裁判所は五輪会場建設資金の一部を汚職の疑いで凍結、と五輪開幕まで“あと100日”が迫るのに大混乱なのだ。

 現地在住の記者、大野美夏氏は言う。

「オリンピックどころではありませんよ。私の周囲でも大勢がデモに参加していましたが、サッカー代表ユニフォームを着て、国旗を振って、W杯の応援みたいですが、みな真剣です。五輪なんてまったく頭になし、チケットの売れ行きもせいぜい50%くらいでしょう」

 むしろ、死者が70人も出ているインフルエンザの流行が気がかりだという。確かに五輪どころではない。

週刊新潮 2016年4月14日号掲載

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