「アントニオ猪木」がスターター! 平壌マラソンに日本人選手5名

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「水爆実験」なるものを強行し、日本に向けてテポドンをぶっ放す。そんな北朝鮮に今頃出かける日本人と言えば、下心があるか変わり者ぐらいである。4月に開かれる平壌のマラソン大会でアントニオ猪木参院議員(73)がスターターを務める話が持ち上がっている。そして、市内を走る5人の日本人とは。

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アントニオ猪木参院議員

 4月10日に行われる「平壌国際マラソン」は、今年で29回目を迎える。金日成競技場をスタートし、凱旋門、金日成総合大学、主体思想塔など、主要施設の前を走り、また競技場に戻ってくるというコースだ。

「北朝鮮旅行は現地のガイド(監視役)が付きますが、この大会はそれがない。自分のペースで街を見て回れるので、外国人ランナーには人気なのです」(北朝鮮ウォッチャー)

 昨年の大会は約600人の外国人が走ったというが、当然ながら日本陸連からは参加していない。だが、大会を是非ともアピールしたい北朝鮮は、猪木氏をスターターとして招いているという。

 北朝鮮研究者の宮塚利雄氏が言う。

「私も猪木さんがスタートの号砲を鳴らすと聞いています。しかし、開催日は国会の真っ最中ですから、海外渡航すれば問題になる。何とか日程を作れないか、目下、国会の議運関係者に打診しているところだそうです」

 猪木氏といえば、3年前にも参院議院運営委員会が不許可を決めたにもかかわらず北朝鮮に渡航。登院停止30日の処分を受けた“前科”がある。

「だから、今回は止めたほうがいいと知人がアドバイスしたのですが、猪木氏は曖昧な返事をするばかりなのです」(別の北朝鮮ウォッチャー)

 そこで、猪木氏の事務所に聞いてみたが、締め切りまでに返事はなかった。

■「奥地」で走るのが好き

 一方、今大会には5人の日本人がエントリーしている。ランナー御一行を引き連れてゆく高橋慎一氏が言う。

「平壌マラソンは一昨年から市民ランナーも走れるようになったのです。それで昨年、ツアーを組もうとしたのですが、エボラ出血熱の発生で外国人の入国が制限されてしまった。そこで、再チャレンジすることにしたわけです」

 ツアー代金は39万8000円(2名1室利用)。これにフルマラソンだと1万6000円の参加費がプラスされる。それにしても、外務省が渡航自粛要請を出しているのに、わざわざ平壌で走りたい日本人ってどんな人たちなのだろうか。

「私は国外放浪のあと旅行代理店を立ち上げて、(ボルネオやキルギスなど)世界の奥地を走るマラソンツアーを主催してきました。参加者は仕事をリタイアした方々で元校長先生もいる。皆さん60~70代で、うち3人はマラソンツアーの常連です」

 そう話す高橋氏に、平壌を選んだ理由を聞くと、

「これまで走って来たのは日本人の行かない奥地ばかり。北朝鮮もある意味、“奥地”ですから」

 折しも3月中旬には米国人観光客がポスターを剥がしただけで懲役15年に処せられたばかり。VIPの猪木氏はさておき、日本人にとっても危険な大会なのだ。

「ワイド特集 三日見ぬ間の桜かな」より

週刊新潮 2016年4月7日号掲載

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