誰も火消しをしない「増税延期」「W選」報道の舞台ウラ

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〈消費増税先送り検討〉

〈首相 経済減速に配慮〉

〈衆参同日選も視野〉

 3月18日の読売新聞朝刊に躍った見出しに、ドキッとしたムキは多かろう。

 安倍晋三総理(61)が来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げ延期を検討し始めた、という趣旨の記事が、実に5面に亘って掲載されたのである。

安倍晋三総理(61)

 政治部記者の話。

「記事では、安倍総理が商工会議所の会合で“今年は大切な年”と思わせぶりな発言をしたことや、財政規律派の稲田朋美自民党政調会長が会見で増税先送りを容認する考えを示したことなどを引き合いに出しています。が、どれも傍証。具体的に動き出す前にメディアに観測気球を上げさせるという、官邸の常套手段でしょう」

 実際、官邸が火消しに走る気配はない。

 しかし、当の安倍総理は実は冷めているという。

「確かに官邸のスタッフや若手の側近たちは、増税先送りや、それを名分にしたダブル選を必死に焚きつけているのですが、肝心の総理が“まだ決めなくてもいいじゃない”と、どっちつかずなんですよね」

 と、官邸関係者。

「年明け以降、甘利明さんの金銭スキャンダルに宮崎謙介さんの議員辞職、“保育園落ちた騒動”と、立て続けに問題が起こり、今はお疲れのご様子。それに、現状では、決めようにも決められませんからね」

 なぜなら、解散の試金石となる4月24日投開票の北海道5区補欠選挙に、黄信号が灯っているのである。

 自民党道連関係者によれば、

「“保育園落ちた騒動”が思わぬ打撃になっているんです。うちは町村信孝前衆院議長の娘婿が弔い合戦に挑みますが、彼は元エリート商社マン。それに対して野党統一候補は元介護職員のシングルマザーで、女性票を一気に取り込んでいる。当初は楽勝ムードすら漂っていたのに、3月上旬の時点で5ポイント差まで追い上げられ、その後も差は縮まる一方。万一、負けるようなことがあれば、解散どころではありません」

 安倍総理は「大切な年」を乗り切れるか。

週刊新潮 2016年3月31日号掲載

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