「松方弘樹」を“接待要員”で役員に……“融資詐欺”疑惑の船主会社

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 船舶の運航管理を手掛ける「ラムスコーポレーション株式会社」と、船舶を所有する関連企業を合わせた「ユナイテッドオーシャン・グループ(UOG)」が、昨年末、東京地裁から会社更生手続きの開始決定を受けた。UOGは約40隻の船を保有する船主会社で、日本郵船との取引で信頼を築き、巨額となる船の建造費を賄うためメガバンクから融資を受けていた。その際契約内容を偽って融資を引き出したとして、メガバンク各社が債権者申し立てを敢行したのである。そんな“融資詐欺”疑惑が浮上する企業の役員欄に、松方弘樹(73)の名があった理由とは。

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“融資詐欺”疑惑が浮上する企業の役員欄に名があった松方弘樹

 95年に設立された新興のラムス社が、日本を代表する海運企業「日本郵船」やメガバンクと取引し、愛宕グリーンヒルズに本社を構えるまでに急成長した理由は、インド人経営者の“努力”を抜きに語れない。一代で社を築き上げたヴィパン・クマール・シャルマ社長が採ったのは、極めて日本人的な戦術、要は“接待攻勢”である。

「シャルマさんは父親が駐日インド大使だった関係で、幼い頃に来日したと聞いています。日本語は堪能ですし、奥さんも日本人。寿司や日本酒も大好きです。まあ、うちの店は専ら接待に使っていましたけどね」

 とは、シャルマ社長と20年来の付き合いという銀座の高級寿司店の店主。

「銀行や日本郵船の幹部を連れてきては酒を酌み交わしつつ話し込む。支払いは全てシャルマ社長です。ある銀行の新橋支店の融資担当とは親友のような付き合いで、それこそお互いに家族の悩みまで打ち明けていました」

 食事の後は、ポルシェビルにある超高級クラブで二次会を開くのが定番コース。同席したことのある人物によると、シャルマ社長がひと声かければ、メガバンクの幹部が続々とクラブに押し寄せたという。

■松方の知名度を利用

 松方が役員に抜擢されたのも、こうした“接待攻勢”と無縁ではない。

 UOGの関係者が2人の出会いを明かすには、

「UOGは、広島県福山市に本社を置く常石造船に船を発注しています。実は、この造船会社の関連企業は“みろくの里”というレジャー施設を運営していて、その一角に勝新太郎主演の『座頭市』を撮った時代劇のセット村があるんです。松方さんは映画の撮影でそこを訪れた際、たまたま商談に来ていたシャルマ社長と知り合いました」

 まもなく、シャルマ社長は松方を新造船の進水式に招いたという。

「式典に招かれた銀行の重役たちは、握手を求めて松方さんに群がった。シャルマ社長は“俳優とは聞いていたけど、こんなに人気があるんですか”と目を丸くしていました。彼は日本での生活が長いとはいえインド人ですし、船の仕事一本に打ち込んできた。松方さんの知名度に驚いて、役員になってほしいと持ち掛けたのです」

 確かに、大企業の重役クラス世代にとって、『仁義なき戦い』や『遠山の金さん』で一世を風靡した松方は大スターである。シャルマ社長が接待要員に打ってつけの存在として目をつけたのは想像に難くない。

 結果、松方は2011年3月から2年以上に亘って、ラムス社の取締役に名を連ねることになった。

「特集 船主会社取締役に名を連ねて轟沈! 脳腫瘍『松方弘樹』の危機は1000億円“融資詐欺”の賠償」より

週刊新潮 2016年3月10日号掲載

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