「不倫は文化」発言で「石田純一」の得たもの失ったもの

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 不倫がバレた著名人なんて星の数ほどいる中で、この人の名はひときわ輝いている。石田純一(62)。あの不朽の迷言とともに、その名もとわに刻まれそうなのだが、ご本人に聞けば「不倫は文化」発言は、意外にも、その後の人生の肥やしにすらなったというのだ。

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石田純一(62)

 なにしろ石田自身も、

「こんなに腐らないコピーはなかなかないですよ」

 と、他人事のように感心頻りなのだ。もっとも、正確にはこれ、ご本人の“作品”とは言えないのだそうだが、ともかく、

「『不倫は文化』を起点に、僕の人生は大きく変わってしまったけど、実は、失ったものもあれば、得たものもあるんです。これは美輪明宏さんに言われた言葉なんですが、“よかったじゃない。『不倫は文化』がなければ、今はただの年老いた俳優だったわよ”って」

 と至って前向き。なにはともあれ、名、いや迷コピー誕生の経緯を、石田に振り返ってもらう。

「長谷川理恵さんのことは1996年10月、『フォーカス』にすっぱ抜かれ、マスコミの取材攻勢がすごくなりました。裏話があって、“新宿のパークハイアットに石田と長谷川がいるよ”と『フォーカス』に教えたのが、出版社社長のKさんなんです。何年かしてKさんや長嶋茂雄さんとゴルフをした時、Kさんが“僕の唯一の汚点だ”と打ち明けて、長嶋さんも“んー、それはいけないね”って仰ってました」

 取材攻勢の話に戻ると、時は学園祭シーズンで、

「ゲストに呼ばれて行くと、常に数社のマスコミがいて、でもガードできたんですが、平尾昌晃チャリティーゴルフは、広いので逃げ切れないと思って、辞退を申し出た。すると平尾さんに“それを乗り越えてこその芸能人だろ”と言われ、腹を括りました。11番ホールまでやりすごしましたが、12番ホールでスポーツ紙の女性記者が近づいてきて、“不倫って許されないことですよね”と火をつけた。僕は言いました。“たしかに悪いことかもしれないし、普通に結婚生活を送っている方は尊敬します。善悪で言えば善でないのもわかる。でも、不倫という恋愛から生まれた文学や芸術、音楽もあるでしょう。愛したり、別れたり、苦しみや葛藤から生まれる文化もあります。それをあなたが悪と決めつけるのには賛同できない”と。そしたら翌朝、『不倫は文化』というタイトルで記事を出されたんです」

 だが、このときは周囲も火遊びと受け止め、痛手はさほどではなかったそうだ。その証拠に、翌年4月から石田は、テレビ朝日系『スーパーJチャンネル』のキャスターになった。

■落とされてよかった

長谷川理恵

「僕は真剣で、遊びでちょっとエッチできればいいや、とかではなかったけど、最初から家庭を壊す気もなかった。ただ、(松原)千明とすみれには申しわけなく思っています。千明にも理恵さんのことを聞かれ、“特別な人なんだ”って言うと、“じゃあ、私はどうなるのよ”と。苦しかったですね。そのうちマスコミが家にも来るようになって、千明は“すみれがピンポンのたびにビクッとするようになったのは、あなたのせいよ”と言う。だんだん別居のようになって、今度は奥さんとすみれがハワイに行くことに。でも、千明には“どうせ火遊び、元の家庭に戻れる”という気持ちがあったんだと思います。親や親戚にも“あんな男はやめておけ”と言われ、周囲の声を遠ざけるためのハワイだったのかもしれません」

 人の噂も七十五日。世間の関心も徐々に薄らいでいったが、再び「フォーカス」のお出ましである。

「僕は10年くらい苦労して、ようやくドラマも当たって、報道番組のアンカーマンも務め、仕事面で安定期に入った感じだったんですけど、97年8月、また『フォーカス』に撮られてしまって、そこからは何週間もいろんな雑誌に追いかけられました。舘ひろしさんは“役者に倫理を求めるのはおかしい”とフォローしてくださったけど、僕はキャスターでもあった。不倫するヤツが世間を語る資格はない、ということです。98年4月にキャスターを降板してからは、仕事はゼロになって、8年ぐらい所得税を払うのが大変でした」

 2005年には長谷川理恵とも別れるが、

「家庭に戻ったほうがよかったのか、自分に正直に生きてよかったのか、今でも判断できないんです」

 良くも悪くも打算的ではないということか。

「時が経って少しずつ仕事が増えてきた時は嬉しかった。以前と違って、パイを顔にぶつけられてゲラゲラ笑われる叩かれキャラになっても、嬉しかった。あそこまで落とされてよかった。ずっと右肩上がりの人生だと、生意気な人間になっていたかもしれません」

 その後、結婚した東尾理子が鷹揚な性格だったのも幸いしたようだ。

「この正月も、すみれと千明が家に来ました。理子が呼ぶんです。ただ“壱成くんの時も、すみれちゃんの時も、同じこと(離婚)を繰り返してるじゃない。今度は最後のチャンスだね”って言われますけどね」

 さて、この不倫の権威に、例の問題について意見を求めないのも野暮だろう。

「ベッキーは真剣に好きになった延長上の不倫でしょ。でも宮崎元議員のは、不倫に上品も下品もありませんけど、品はないのかな」

“文化人”ならではの自負が感じられるのである。

「60周年特別ワイド 輝ける明日への遺言」より

週刊新潮 2016年3月17日号掲載

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