国会のない時はコンサート?「今井絵理子」参院選出馬への違和感

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 2月9日に参院選出馬表明を行った「SPEED」の今井絵理子氏(32)だが、この“目玉候補”には早くも初スキャンダルが浮上している。聴覚障害児の息子を女手ひとつで育ててきた彼女の、現在の交際相手は、少女を風俗店で働かせ逮捕された過去を持つ「黒川康太氏(仮名)」だったのだ。

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聴覚障害児の息子を女手ひとつで育ててきた「SPEED」の今井絵理子氏

 今井氏の来し方は、およそ政治とは無縁であった。歌手時代はもちろん、息子をきっかけに聴覚障害者の支援に携わるようになっても、政治への問題意識を感じさせるような発言は皆無に等しい。

「そもそも、今回、今井さんが出馬に至った経緯を見ても、熟慮や覚悟の跡を感じませんでした」

 と言うのは、さる政治部デスク。今井氏は会見でこう述べている。

〈この話をいただいたのは1月18日だったんです。大きな日本という素敵な社会に、自分が携わることが本当にいいのか、すごく悩みましたし、家族とも話し合いました。しかし、息子のことを思ったり、息子と同じ境遇の子どもたちのことを思うと、何とかしなきゃいけないと思うようになりました〉

 が、先のデスクは続ける。

「1月18日に今井さんに話をしたのは、山東昭子・元参院副議長ら自民党のベテラン議員ですが、彼女らはその数日前に所属事務所に打診をしただけで臨んでいる。ところが、今井さんはその場で“ぜひやってみたい”と即決しているのです。山東議員も、今井さんとはそれほど密に交流していたわけではないそうですが」

 今井氏は何だか“ノリ”のようなスピードで出馬を決めたということなのだ。

「また、その席で、今井さんは“ファンがいるので引退はできません”“秋にSPEEDは再結成という形でコンサートをやる可能性もあるんです”“音楽活動は議員活動の合間にできるんでしょうか”と尋ねています。これに対して、自民党サイドは“国会のない時はコンサートを開いても良いし、土日は99%会議や何かはありませんから、そういう時にはできますよ”と返答しています」(同)

■本人、事務所のコメント

ステージで踊る今井絵理子氏

 しかし、仮に当選したとしても、今井氏は一年生議員。これまで政治に携わった経験がほとんどないことから見て、山のように勉強することはあるはずだ。

 国会の閉幕期間や土日をそれに充てずして、果たして国会議員の職責を全うできるのか、大いに首を傾げてしまうのである。

 実際、当の今井氏に、黒川氏の件を尋ねても、「事務所を通してください」と未だ意識は“芸能人”のまま。

 そして、事務所からも、

「経営を譲渡した店で事件が起こったが、本人は不起訴になったと聞いています。それ以上詳しいことはわからない」

 と紋切型の回答が返ってきたのみ。自らに降りかかった疑惑について、政治家なら要求される説明を全うするつもりはないのである。

■“夫への愛ゆえ”

 仕方がないので、代わって“後見人”の立場にある山東議員に聞くと、

「その件はね、報道の前に彼女から聞いていましたよ。でも、彼女曰く、彼は親にネグレクトされてグレていた時代があった。でも、そういうことをやるのならお付き合いはできないと言ったら、彼は目が覚めて新たな人生を歩んでいこうと頑張っているそうです。だから、彼女の“夫”への愛ゆえに、彼の人生も変わっていく。そういうことです。この件は茂木(敏充)選対委員長にも報告しました。そうしたら――」

“これは彼女が彼を更生させようとしている話でしょ。美しい話じゃないですか”

 と、茂木敏充・選対委員長は語気を強めたという――。

 すなわち、自民党はこれを逆手にとって、美談にする気が見え見え。それはそれで有権者を大いにバカにした話と言えるのである。

■育ての親も絶句

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は言う。

「今井さんは、記者会見でも、“障害者への差別に目を向けてほしい”と言っていますが、具体的な政策を聞かれると、“これからつくりたい”と、何をやりたいのか、まったく見えてこない。長年、精力的にそうした活動をしてきた方が“政治から変えないと何も変わらない”という思いで、満を持して出馬するのならわかりますがね。逆に言えば、自民党が本人の資質を度外視して、あくまで得票率という部分だけで候補者選びをしている証左だと思います」

 横峯良郎にアントニオ猪木、そして、最近では舌禍事件を起こした丸山和也の各氏など、タレント議員の失敗例は枚挙に遑(いとま)がない。その教訓をまったく生かし切れていないというのだ。

「今井は本当に出馬するの?!」

 と絶句するのは、幼い頃、今井氏含め、SPEEDのメンバーを育てた「沖縄アクターズスクール」の牧野正幸校長である。

「常識的に考えたら、自民党はおかしいよね。障害児を持っているお母さんなんて何十万人もいるし、もっと経験のある人もいっぱいいると思うよ。今井は転がったボールに飛びついただけだけど、自民党に利用されたと見られちゃう。自民党は選挙権が18歳に下がるから、若い今井の票がほしいだけ。子どものために政治家になるなんていくら言っても、結局、子どものためには親が傍にいてやるのが一番なんだよ」

 煎じ詰めれば、違和感だけしか出てこない、今井氏の出馬劇。有権者の賢明な判断が期待されるのである。

「特集 交際相手が児童福祉法違反で逮捕歴! それを美談に仕立てる自民党!『今井絵理子』の『参院選』当確に違和感がある!」より

週刊新潮 2016年3月3日号掲載

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