警視庁本庁3階「留置場」発「3人部屋を独占使用で清原が毎晩スヤスヤ眠っている」

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 ドームを沸かせた主砲から桜田門を困らせる牢囚へ─―。この上なく劇的な変身をなし遂げたのが、清原和博(48)である。白球を追っていたはずがいつしか白い粉にすり替わっていたわけで、本人は目下、完全監視のもと警察式“オーバーホール”の最中にあるのだ。

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すでに1カ月

 2月2日に覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕されたのち、同月23日には使用容疑で再逮捕。囚われの身となってはや1カ月、清原はいま、警視庁本庁の3階にある留置施設で、ひたすら孤独と向き合う日々を重ねている。

「本庁の留置場は、南西の方角にあたる総務省側に位置しています。定員3人の部屋が8つあり、そのうちの一室を、清原は1人で使っているのです」

 とは、警視庁のさる留置場関係者である。

 1日の流れを大まかにたどると、起床は朝6時台。掃除や朝食を済ませて軽い運動をこなし、取調室へと向かう。昼を挟んで午後も調べが続き、18時の夕食以降はいわば「自由時間」で、21時に消灯を迎える。

 冬季は入浴が週に1度許されており、独居の者は、雑居房の面々の後に1人で湯船につかることになる。ちなみに、3食のほか「自弁」扱いで好きなメニューや菓子類も購入できるのだ。

 つねに“個室”をあてがわれている清原とは事情が異なり、周囲の房では次々に留置者の顔ぶれが変わっていく。

「隣の部屋には一時期、靖国神社のトイレに爆薬を仕掛けた韓国人の全昶漢(チョンチャンハン)も留め置かれていました」(同)

 というから、ゆめゆめ気が抜けない。留置管理の担当官は、房内の事故を防ぐべく最新鋭のカメラを駆使し、一斉監視の任に就いている。その画面に映し出される清原は、しばしば巨躯を揺らし、思案に暮れる様子でせわしなく歩き回っていたという。

 捜査関係者によれば、

「最初に留置された時は短髪でしたが、伸びてきたため庁内で刈り、いったんは丸坊主になりました」

 逮捕後の動静は“夜泣き”あるいは“取調べですすり泣き”などと報じられてきた。

「精神的な落ち込みもあってか、取調室ではうなだれて涙声になる場面はみられました。もっとも最近では落ち着きを取り戻しており、房内でも静かに過ごしています。食欲はとにかく旺盛。本人は支給される3食では『量が足りない』とこぼしているくらいです」

 何より気がかりな“禁断症状”については、

「覚せい剤を服用すると、直後には汗が出て喉が渇きます。この汗は、ビタミン剤のような臭いを放つことがあります」

 とは、元近畿厚生局麻薬取締部長の西山孟夫氏。2月2日の逮捕時、警察病院で診察を受けてから警視庁に移送される際にも、清原の額には季節外れの汗が光っていた。

「一般的には服用後1〜2日目は興奮状態で眠れません。3日目あたりから、反動ですさまじい眠気とともに脱力感やうつ状態に襲われ、それまで感じていなかった歯痛や腰痛などがぶり返してくる。7〜10日目くらいになると交感神経が落ち着き、眠気が消えて食欲が出てきます。ですが、薬がほぼ体内から抜けるため、一方で無性に欲しくなるタイミングでもある。ここまでが、退薬(禁断)症状の最もつらい時期です」

 すでにその“ヤマ場”は過ぎ去ったことになる。実際に、消灯後は連日の安眠が続いているといい、

「留置施設では、体調不良を訴えて医師の診察時に医薬品を処方してもらう被疑者は珍しくありません。清原もそうした1人で、現在、処方された睡眠薬を断続的に服用しています。むろん薬品は担当官が厳重管理しており、就寝前に服用の希望を聞いた上で適量を手渡すことになります」(前出・留置場関係者)

 泣き声ならぬ寝息が漏れる夜の本庁舎3階は、もっぱら静寂が支配しているというわけだ。

■お遍路は2度目だった

 清原は昨春、四国霊場八十八カ所のお遍路に出発。その模様はテレビ番組でも放映されたのだが、

「その1年前、薬物中毒疑惑についての記事が世に出た直後、私が説教して遍路を勧めたのです」

 そう明かすのは、清原と親交のあったさる僧侶である。

「一昨年に2人で遍路を始めたところ、彼は最初の数カ所を回っただけで止めてしまった。根気がないと思っていたら、今度はテレビ番組で商売用にやっているのだから、呆れました」

 果たして2度目の挑戦も、半ばで頓挫することとなった。それでも、

「最初に逮捕されてから1週間後、私は“君は1人ではない。決して卑屈になるな”としたためた手紙とともに、2冊の本を差し入れました。空海の伝記と、八十八カ所の地図つきガイドブックです」(同)

 さらに僧侶は、再逮捕の直後にも、

「今度は真言宗の経文を解説する入門書を送りました。そして手紙で“かつてのスーパー清原とは決別しなさい。高校時代からスターだった君は、あとは落ちるだけ。その途中で枝に引っかかったということだ”と綴ったのです」(同)

 いずれも手許には届いたとみられ、さては教えに触発されたのか、最近の取調べでは、

「当初、入手経路については頑なに口を閉ざしていましたが、2月15日に密売人の小林和之が捕まったこともあり、少しずつ口を開くようになりました」(警視庁担当記者)

 とのことで、

「すでに所持と使用は認めているので、取調べも一日2〜3時間で済む日が多くなっている。週末などは、午前中で終わることもあります。当局はもはや、3度目の逮捕まで必要とはみていません」(同)

 通常であれば今月中旬には使用容疑で起訴され、ほどなく保釈となる運びなのだが、とりわけ薬物事件では、保釈条件として身元引受人が重視されるという。

「親族による身請けが一般的ではありますが、彼の場合は離婚し、1部上場企業に勤める弟とも長らく断絶状態にある。岸和田の両親も、母親は認知症を患って介護施設に入っており、父親との関係は悪くないものの、彼が実家の電器店に舞い戻ったら大騒ぎとなるのは必至。おいそれと引き受けられないのです」(事情通)

 引き続き、東京拘置所で睡眠薬のお世話になるかもしれないのだ。

週刊新潮 2016年3月10日号掲載

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