麻生太郎の名前もある兜町の風雲児「中江滋樹」政界工作秘密リスト
ホステスと海外逃避行
再び世間の注目を浴びたのは98年。「三井埠頭」の社長らが起こした54億円の不正融資事件だ。業績不振の同社の手形が街金業者に出回って大騒ぎになる。後ろにいたのが中江氏だった。
「あの事件は潰れかかっている三井埠頭から頼まれて手形を保証してやったのよ。“うちは潰れない”って言うから信用してしまった。それでヤクザの親分たちに金を出してもらったんだ。“中江がやるなら”ってね」
だが、手形は焦げ付く。暴力団関係者が回収に乗り出すと、中江氏は姿をくらました。
「銀座のホステスが一緒についてきてくれて、ロサンゼルス、モントリオール、ラスベガスと北米を転々とした。ラスベガスでは毎日カジノに行ってたよ」
故郷・滋賀に戻ってきたのは03年のこと。意味不明な言葉を口走り、放火事件を起こしたりもしたが、気がふれたと思われたのか、追手はやってこなかった。その中江氏、今は相場勘を取り戻すために、隠遁生活を送っていると言う。
「投資ジャーナルでしくじらなければ、15兆円は稼いでいたな」
とうそぶく中江氏。着るものに頓着しないのは昔のままだが、あの事件から三十年余。ボサボサの頭には白髪が混じっている。
「60周年特別ワイド 『十干十二支』一巡りの目撃者」より
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