福岡の小学校でインフルエンザが激減! 話題の「あいうべ体操」はなぜ効くのか
「口呼吸」を「鼻呼吸」に
インフルエンザの拡大は、実は小学校から始まると考えられている。それは、小学生は特に罹患率が高く、ウイルスを家庭に持ち帰って、成人や高齢者に感染させてしまうから。つまり、小学校での流行を防げば、全国的な大流行を防ぐことにもつながるのだ。
■「あいうべ体操」で罹患率が5分の1に
この「小学校から流行防止」に取り組んでいるのが、福岡県でクリニックを開業する今井一彰医師。口のまわりの筋肉を動かす体操で、ある小学校のインフルエンザ罹患率を大幅に下げることに成功した。
「あー」「いー」「うー」「べー」体操で、いびきや喘息まで改善。
今井氏が定期的に健康指導しているのは、福岡県の春日市立須玖小学校。著書『鼻呼吸なら薬はいらない』でも紹介している「あいうべ体操」を、2008年から試験的に導入したところ、インフルエンザに罹る児童が激減。導入前は40パーセント近かった罹患率が、2012年には7パーセントを下回り、今年は何と5パーセント以下に。それからは、インフルエンザによる学級閉鎖がほとんどなくなったという。
■口呼吸はインフルエンザの元
そもそも、インフルエンザと呼吸にはどんな因果関係があるのだろうか?
今井氏によれば、「口呼吸の習慣がつくと、細菌、ウイルス、アレルゲンなどの異物がそのまま取り込まれてしまう。さらに、そうした異物と一緒に乾いた冷たい空気が直接身体に入り、口腔やのどが乾燥して、免疫力まで落ちる」という。一方、鼻呼吸なら、フィルターである鼻毛や鼻水などが異物をある程度ブロックし、空気そのものは副鼻腔で温められるため、結果として感染リスクが減るのだ。
「口呼吸を鼻呼吸に変えるためには、あいうべ体操が効果的です。口や舌を支える筋肉の力を回復させることで、鼻呼吸が習慣になり、普段からしっかり口が閉じられていれば、インフルエンザに罹る可能性はおのずと低くなるのです」。
■「あー」「いー」「うー」「べー」で、いびきや喘息まで改善
須玖小学校では、クラス全員が「あー」「いー」「うー」「べー」と大きく口を動かし、舌を出す運動を続けている。同校では、インフルエンザの罹患率が下がっただけでなく、「明らかに風邪をひく児童が減り、しかも一緒に体操を続けている保護者の方から『いびきが止まった』『喘息が良くなった』という声が届いた」(今井氏)。
この運動は、須玖小学校だけにとどまらず、九州を中心に全国に広がりつつある。感染症が拡大しているこの時期、予防のために、今日から「あいうべ体操」を始めてはいかがだろうか。
*掲載当初、「長崎県の春日市立須玖小学校」と記載いたしましたが「福岡県の春日市立須玖小学校」の誤りです。お詫びして訂正いたします。