「八角理事長」に“辞任しろ!”の声が飛んだ 「日本相撲協会」の“年寄総会”実況中継

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 土俵外のガチンコ対決がここまで注目を集めるのは珍しいのではないか。「週刊新潮」1月28日発売号の記事によって表沙汰になった日本相撲協会の八角理事長vs貴乃花理事のバトル。1月29日には理事候補選挙が行われたが、その前日の年寄総会では怒号が飛ぶ事態に――。

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八角親方

 スポーツ紙だけではなくテレビのワイドショーでも連日取り上げられ、注目を集めている八角親方(52)と貴乃花親方(43)の壮絶バトル。その背景には欲と打算、数多の人間の愛憎が複雑に絡み合っているが、当の2人の関係は如何にして抜き差しならないものになっていったのか。「週刊新潮」の記事内容に触れながら、ざっとおさらいしておきたい。

 2人の間に確執が生じたのは昨年11月、北の湖前理事長が急逝した後のことである。亡くなった北の湖前理事長の遺志を受け継ぐべきだ――。協会ナンバー3として北の湖体制を支えてきた貴乃花親方はそう表明。しかし、一方の八角親方は、協会ナンバー2に引き上げてもらった大恩を忘れたかのように「脱北の湖」の動きを取り始めた。その動きの1つが北の湖前理事長の仇敵だった九重親方と手を組んだことで、当然、貴乃花親方は激怒。さらに昨年12月18日、貴乃花親方らの反対を振り切って八角親方が正式に理事長に就任すると、2人の対立は決定的なものとなった。

 そんな2人が人目も憚らずに言い争いをしたのは今年1月21日、両国国技館内の会議室で行われた評議員会の席でのこと。この日、八角親方は、評議員を退任する山響親方の後任に自分の息のかかった年寄OBを押し込もうと画策。それを知った貴乃花親方が会議室に乗り込み、「おかしいじゃないですか」と詰め寄ったのは「週刊新潮」が伝えた通りである。

「週刊新潮が報じた評議員会でのエピソードは角界で衝撃を持って受け止められました。八角理事長は密室でそんなことをしていたのか……と。この件は理事候補選挙にも大きな影響を与えたと思いますよ」(ある若手親方)

■“違法だ”とふれ回る八角理事長

故・北の湖前理事長

 実は理事候補選挙の前日に行われた年寄総会で、八角理事長は早くも窮地に陥っていた。参加した親方から評議員会での出来事について説明を求める声が上がり、総会は大混乱となったのである。

 年寄総会はその日の午後1時から、国技館敷地内にある相撲教習所2階の大教室で行われた。100人近くの親方が詰めかけてごった返す中、まず八角理事長は、

「自分がどう協会を運営していくか、といった決意表明のような挨拶を始めたのです。しかし、それが終わらないうちに出席者から『山響さんの後任の件はどうなってるんだ!』という声が上がった。その後、評議員を辞めた方が親方に戻ることに問題がないかどうかについて、八角理事長が協会監事に確認する、という流れになりました」(出席した親方)

 これについては少々説明が必要だろう。山響親方が退任するまで、彼を含めて3人の現役親方が評議員を務めていたが、

「なぜか八角親方は、それについて“違法だ”と周囲にふれ回っていた。『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』に反すると言いたかったのかもしれませんが、実際は違法でも何でもない。おそらくそれは、自分の息のかかった年寄OBを評議員に押し込むための布石だったのでしょう」

 と、協会関係者は言う。

「評議員をやるのは年寄OBではなく、今の角界のことが分かっている現役の親方でなければならない、というのは北の湖前理事長の考えでした。八角親方はそれが気に食わなくて変えたいと思っていたのでしょうね。ある親方が北の湖さんの考えについて丁寧に説明していたら、“北の湖の話はしないでくれ”と言い放ったそうですから」

両国国技館

■“辞任しろ!”

 年寄総会に話を戻そう。

「私から監事に質問します。評議員を辞めた方が親方に戻るのは違法ではないですか?」

 そう質問したのは、八角理事長。対する協会監事は、

「違法ではありません」

 と断言し、違法ではない理由についても縷々述べていたという。

「次に八角親方は『親方が評議員になるのは違法ですか?』と質問しましたが、監事はそれに対しても『違法ではありません』とハッキリ言っていた。その後、八角親方が『年寄の皆さんからも何か質問はありますか』と聞いたのです」

 先の親方はそう振り返る。

「すると、年寄たちから次々と八角理事長を非難する声が上がった。『理事長、あなたは違法だと言ってたじゃないか!』とか『(ナンバー2の)尾車さんもグレーだとか違法だとか言ってたじゃないか!』とか……。『変じゃないか』『理事長おかしいぞ』といった怒号も飛び、ちょっと収拾がつかない状況でした」

 そんな中、貴乃花親方も、

「理事長は違法だと言いましたよね?」

 そう言って八角親方に詰め寄ったという。

「それに対して、八角親方は“記憶がない”とか何とか、この間辞任した大臣みたいなことを言って失笑を買っていました」

 と、別の親方は語る。

「参加者からは“そういう曖昧なことを言うんだったら、辞任しろ!”という声も上がっていましたが、八角親方は口をもごもごさせるだけ。結局、最後は八角親方が“評議員候補は決めなくて結構です”と言ってお開きになった。通常、年寄総会は30分くらいで終わりますが、あの日は1時間半くらいかかりました」

「特集 『大相撲』土俵外のガチンコは理事長選 『貴乃花』VS『八角』どちらが強いか?」より

週刊新潮 2016年2月11日号掲載

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