相撲協会「八角理事長」の狡猾なやり口に「貴乃花理事」が怒った!

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 北の湖前理事長の急逝後、理事長代行を務めていた八角親方が正式に理事長に就任したのは昨年12月18日のことだった。が、その決定にあたっての理事会では、“新理事長が八角親方でいいか”との表決が行われない、強引な手法がとられていた。「理事長就任希望者をきちんと募っていれば、貴乃花親方も手を挙げていたはず」(事情を知る親方)。さらに八角理事長は、前理事長の遺言を無視する形で、九重親方と結託。これも貴乃花理事にとって、決して許すことの出来ない所業だった。

 2人の対立が激化したワケは、

「1月29日に協会の理事候補選挙があり、3月末には新しい理事らの互選によって理事長が選ばれることになっていました。今回の理事候補選挙は、“貴乃花派”と“八角・九重連合”のどちらが多く理事を送り込めるかの戦いだったのです」(前出の親方)

“貴乃花派”と見られているのは、「貴乃花一門」と、北の湖前理事長が属していた出羽海一門。一方、“八角・九重連合”は、両親方が所属する高砂一門と二所ノ関一門である。

八角派の画策

 理事の定数は10で、今回の理事候補選には最大で12人が立候補する可能性があった。

「12人が出馬した場合、当選ラインは8票前後で、“貴乃花派”では、自らの一門以外からも票が集まる貴乃花親方に加え、出羽海一門が擁立する4人の当選も堅いと見られていた。一方の“八角・九重連合”ですが、八角理事長はギリギリで当選、持ち票が5票しかない九重親方は苦しいとの見立てでした」(同)

 とはいえ、そんな九重親方にも、全く打つ手がないわけではなかった。カギを握るのは、伊勢ヶ濱一門だ。

「伊勢ヶ濱親方は、例の理事会で貴乃花親方側についた1人。貴乃花派としては彼の当選も実現させたいと考えているが、八角派はこれを阻もうとしている。具体的には、伊勢ヶ濱一門からもう1人、高島親方を出馬させようとしているのです。一門から2人が出馬すれば伊勢ヶ濱親方の当選はおぼつかなくなり、その混乱に乗じて九重親方に票の一部を回せる、というわけです」(同)

■ルール無視の八角理事長

九重親方

 結果として、立候補直前になって「(票が)そろわなかった」と九重親方が出馬を断念。伊勢ヶ濱親方親方は当選し、高島親方が落選することになった。

 理事候補選に向けて水面下ではドロドロの暗闘が繰り広げられていたわけだが、八角理事長の目はすでに「その先」にも向けられている。理事の任命権を持つ評議員会にも手を突っ込んでいるというのだ。“事件”は1月21日、両国国技館内の会議室で行われた評議員会の席で起こった。

「その日は評議員7人のうち、5人が出席。事前に案内されていた議案は、理事候補選に出馬する山響親方が評議員を退任する件のみでした。で、山響さんの退任はすんなりと決まったのですが、それからしばらくして、八角理事長は“これ、山響さんの後任に”と言って、ある元年寄の履歴書を配り始めたのです」

 そう語るのは、問題の評議員会について取材したスポーツ紙記者である。

「まず、後任を決めることを事前に案内せず、騙し討ちのような形で持ち出したことが問題。また、元年寄が評議員になるには年寄会の承認が必要。八角理事長はそのルールも無視した」

■「おかしいじゃないですか」

日本相撲協会

 参加者の1人からそうした指摘が出されても諦めず、評議員を1名補充するための臨時理事会の開催にこだわったという八角理事長。急遽、招集通知書が各理事に送られることになったが、ほどなくして、ドアをノックする音が会議室に響いた。入ってきたのは貴乃花親方で、八角理事長に対してこう詰め寄ったという。

貴乃花「理事長、これは今日の評議員会の議題に入っていません。おかしいじゃないですか」

八角「余裕がないだろ」

貴乃花「余裕がないわけではない。年寄会が先です。手続きを踏みましょう」

 先のスポーツ紙記者の話。

「貴乃花親方はすごく怒っていたそうですが、言っていることは正しい。八角理事長もこれ以上はさすがに無理と思ったのでしょう。“今日はこれまで”と言ってやっと諦めたそうです」

 理事会、評議員会での出来事について八角理事長に取材を申し込んだところ、以下の回答が寄せられた。

「(理事会では)誰を新理事長にするかについて理事による互選が行われました。評議員の選任は評議員会での専決事項であり、八角理事長が強引に議事を進めたという事実はありません」(日本相撲協会広報部)

 大関琴奨菊による、日本出身力士10年ぶりの優勝という快挙に沸いた今場所。北の湖前理事長が生きていればさぞ喜んだことだろうが、彼とて自らの死後、かくも凄まじい内部抗争が行われようとは、想像だにしなかったに違いない。

「特集 『北の湖』の遺言を守らず『相撲協会』に内部抗争! 『八角理事長』の狡猾なやり口に怒った『貴乃花理事』」より

ルール無視の八角理事長

 結果として、立候補直前になって「(票が)そろわなかった」と九重親方が出馬を断念。伊勢ヶ濱親方親方は当選し、高島親方が落選することになった。

 理事候補選に向けて水面下ではドロドロの暗闘が繰り広げられていたわけだが、八角理事長の目はすでに「その先」にも向けられている。理事の任命権を持つ評議員会にも手を突っ込んでいるというのだ。“事件”は1月21日、両国国技館内の会議室で行われた評議員会の席で起こった。

「その日は評議員7人のうち、5人が出席。事前に案内されていた議案は、理事候補選に出馬する山響親方が評議員を退任する件のみでした。で、山響さんの退任はすんなりと決まったのですが、それからしばらくして、八角理事長は“これ、山響さんの後任に”と言って、ある元年寄の履歴書を配り始めたのです」

 そう語るのは、問題の評議員会について取材したスポーツ紙記者である。

「まず、後任を決めることを事前に案内せず、騙し討ちのような形で持ち出したことが問題。また、元年寄が評議員になるには年寄会の承認が必要。八角理事長はそのルールも無視した」

「おかしいじゃないですか」

 参加者の1人からそうした指摘が出されても諦めず、評議員を1名補充するための臨時理事会の開催にこだわったという八角理事長。急遽、招集通知書が各理事に送られることになったが、ほどなくして、ドアをノックする音が会議室に響いた。入ってきたのは貴乃花親方で、八角理事長に対してこう詰め寄ったという。

貴乃花「理事長、これは今日の評議員会の議題に入っていません。おかしいじゃないですか」

八角「余裕がないだろ」

貴乃花「余裕がないわけではない。年寄会が先です。手続きを踏みましょう」

 先のスポーツ紙記者の話。

「貴乃花親方はすごく怒っていたそうですが、言っていることは正しい。八角理事長もこれ以上はさすがに無理と思ったのでしょう。“今日はこれまで”と言ってやっと諦めたそうです」

 理事会、評議員会での出来事について八角理事長に取材を申し込んだところ、以下の回答が寄せられた。

「(理事会では)誰を新理事長にするかについて理事による互選が行われました。評議員の選任は評議員会での専決事項であり、八角理事長が強引に議事を進めたという事実はありません」(日本相撲協会広報部)

 大関琴奨菊による、日本出身力士10年ぶりの優勝という快挙に沸いた今場所。北の湖前理事長が生きていればさぞ喜んだことだろうが、彼とて自らの死後、かくも凄まじい内部抗争が行われようとは、想像だにしなかったに違いない。

「特集 『北の湖』の遺言を守らず『相撲協会』に内部抗争! 『八角理事長』の狡猾なやり口に怒った『貴乃花理事』」より

週刊新潮 2016年2月4日号掲載

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