13年ぶり敗戦で「伊調馨」に灯った黄信号

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 日本で最もシルバーが似合わない女――伊調馨(31)が2月1日、成田空港に降り立った。五輪3連覇中で今夏のリオ五輪も金メダル確実とされる彼女が首にぶら下げていたのは銀メダル。ある意味、レアである。

 ロシアで開催された「ヤリギン国際」なるレスリング大会の58キロ級に出場した伊調は、決勝でモンゴルのオホン・プレブドルジという22歳の新鋭と対戦し、テクニカルフォール負けを喫した。不戦敗を除くと、実に13年ぶりの敗戦だった。

「同じく五輪3連覇中の53キロ級・吉田沙保里(33)は、正直言って衰えが隠せず、危なっかしい試合も増えている。ですが、伊調はまだまだ強くなっている印象。なので、未だに負けたことが信じられません」

 と大手紙五輪担当記者もショックを隠せない。

「女子には練習相手がいないので、いつも男子と練習しています。もはや多少のミスや故障があっても勝敗に影響しない異次元の強さ。現に、12年ロンドン五輪では、靭帯を切断しながら優勝を果たしています」

 ここ2年余りは相手にポイントを獲られたことすらなかったのだとか。ただ、今回はスコアも0―10と圧倒されていた。

「力負けの完敗ですね。まあ、こういう伏兵を知るためにわざわざマイナーな試合に出向いているのですから、これはこれで収穫と言えるのでしょう。帰国会見でも本人は、思いのほかサバサバしていました」(同)

 だが、女子史上初の五輪4連覇に黄信号が点灯したのは確かではないか。

「実は、吉田も08年北京五輪前に連勝がストップしたことがありました」

 と語るのは、日本レスリング協会の福田富昭会長。

「でも、それがいい刺激になり、立ち直って金メダルを獲った。伊調もこれでガックリするような選手ではない。心配ご無用ですよ」

 伊調よ、金こそ君の色だ。

週刊新潮 2016年2月11日号掲載

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