見所は「古河vs.三菱」の代理戦争というサッカー協会会長選挙

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 日本サッカー協会(JFA)によれば、競技は1873年、英国海軍兵によって我が国に伝わったとのこと。爾来143年、そのトップが初めて公開選挙で選ばれる運びとなって、「戦況」は思わぬ様相を呈し……。

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「和魂洋才」と言うべきか、イングランド生まれの競技を統括するJFAの会長は従来、日本特有の“密室選出”で生まれてきた。

「数人の幹部からなる『役員候補推薦委員会』が推薦リストを作り、評議員会などがその意向に従う形をとってきました。が、国際サッカー連盟(FIFA)から選挙を行うよう指導され、今回から改められたのです」(スポーツ紙記者)

 会長職は1期2年で、通常は2期務める。12年に就任した大仁邦彌会長の任期満了に伴い、今月31日、75人の評議員によって新会長が選出される。告示は21日だが、すでに原博実専務理事と田嶋幸三副会長による“一騎打ち”となっており、

「最大の争点はJリーグのシーズン移行問題です。現行の『春秋制』に対し、FIFA理事でもあり国際事情に明るい田嶋さんは、以前から『秋春制』にすべきだと主張してきました」(同)

 もっともJリーグ側は、スポンサー収入やスタジアム確保、気候などの問題を挙げて難色を示しており、

「そうした声を背負う形で名乗り出たのが原さんです。が、アギーレ招聘の“戦犯”とされたこともあり、先だって行われた理事会による推薦候補者を選ぶ投票では、田嶋さんが最多票を集めて圧勝しています」(同)

■どちらでも混乱

 現状では「予備選」を制した田嶋副会長の優位は揺るがない。それでも、さる協会関係者が明かすには、

「75票中、都道府県票が47あります。技術委員長を務めてきた原さんは、地方とのパイプが太い。Jリーグの19票と合わせ、有利に働くとの見方がもっぱらです」

 どんでん返しも大いにあり、という背景には、

「田嶋さんの“後ろ盾”となっているのは、他ならぬ川淵三郎最高顧問。これに対し、原さんを推しているのが犬飼基昭元会長です。いずれも投票権はありませんが、現在も協会に強い影響力を有する大物同士。また、犬飼さんが会長だった10年には、田嶋さんによって再選を阻まれ、1期で退くはめになったという“経緯”もあるのです」(同)

 さらに加えて、

「犬飼さんにとって、原さんは浦和レッズの前身である三菱自動車の後輩であり、Jリーグの村井満チェアマンも浦和高校の後輩。この3人が“田嶋包囲網”となっている。対して川淵さんと田嶋さんは、やはりジェフ千葉の前身・古河電工の先輩後輩という間柄です」

 伝統の一戦「三菱vs.古河」の再来というわけだ。

「21日までは何も話すなと言われているので……」

 そう口を揃える両候補に代わり、犬飼元会長は、

「僕はもう力はないから、バックアップできません」

 と前置きしつつも、

「ただ『2人のうちでは原さんが断然いい』と言っただけ。田嶋さんはJリーグのことはよく分かっていない。興味がないんでしょう。だから原さんが適任ですよ」

 などと“応援演説”を展開。先の記者が言う。

「田嶋さんになればシーズン移行が現実味を帯び、原さんが逆転すれば理事会のメンツは丸潰れ。大幅な人事刷新となるでしょう。いずれにせよ混乱は必至です」

 代表の試合より、よほど面白そうなのだ。

「ワイド特集 炎上中に寒中見舞い」より

週刊新潮 2016年1月28日号掲載

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