北朝鮮核開発の裏に朝鮮総連傘下のスパイ組織「在日本朝鮮人科学技術協会」あり

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 1月6日に北朝鮮国営の「朝鮮中央テレビ」が発表した、“最初の水素爆弾実験成功”の報。専門家の見解は、この発表がマユツバという点で概ね一致しており、世界中を震撼させた“水爆”が、張り子の虎に過ぎなかったことはもはや疑う余地がないだろう。

 だが一方で、

「2010年に北朝鮮が初めて核融合反応を成功させたと発表した時、私は“何をバカなことを”と相手にしませんでした。しかし、北朝鮮が着実に核開発を進めているのは事実でしょう。中国は1964年に初の原爆実験を、67年には水爆実験を成功させています。中国が半世紀も前に、わずか3年で成し遂げたわけですから、北朝鮮が近い将来、水爆を作れないとは言い切れません」(コリア・レポート編集長の辺真一氏)

 今回の“水爆”がブラフだったにせよ、北朝鮮の核技術がこの数年で格段の進歩を遂げたことは間違いない。実は、それを支えてきたのが、あろうことか、わが国の科学技術だったという信じ難い話がある。

■産業スパイ軍団

「北朝鮮の核開発は“科協”の存在抜きに語れません」

 そう述べるのは、「宮塚コリア研究所」の宮塚利雄代表である。

 科協とは、朝鮮総連の傘下団体“在日本朝鮮人科学技術協会”の略称だ。

「59年に設立されたこの組織は、北朝鮮の諜報機関である統一戦線部第225部の指示を受けて、本国の国家科学院などと共同研究を行っていると指摘される。彼らが日本の科学技術を本国に送り続けてきたのは公然の秘密です」

 謎に満ちた組織の存在がクローズアップされたのは、05年10月。関連企業が摘発されたことで、科協本部に初めて捜査の手が入った。

 ジャーナリストの野村旗守(はたる)氏が解説する。

「捜査に当たった警視庁公安部は、科協から押収した資料を秘かに“宝の山”と呼んでいました。そこには、陸自の最新型地対空ミサイルシステムに関する情報まで含まれていた。在日朝鮮人の科協メンバーは、有名大学や一般企業の研究部門に入り込み、日本の学術文献や設計図面、開発段階のデータなどを含む様々な科学技術情報を本国に送り続けてきた。日本の公安当局は、科協を“北朝鮮の軍事技術を支える産業スパイ集団”と位置づけていました。北朝鮮の軍事産業は、旧ソ連の後押しで成り立っていたと考えられてきましたが、実際には日本の技術にも支えられていたのです」

■取り締まりは困難

 野村氏によれば、科協は〈科学に国境はないが、科学者には祖国がある〉をスローガンにしている。これは細菌学の父と呼ばれる化学者、ルイ・パスツールの言葉だ。事実、科協は日本の科学者が築き上げた貴重な技術と情報を、憚ることなく“祖国”に捧げてきた。

 公安関係者が続ける。

「科協のメンバーの大半は表向きの肩書を持っています。ある国立大学の現役研究者は、科協で原子力分野の専門委員会に所属し、最近まで足繁く訪朝していたことが確認されている。しかし、スパイ防止法のない日本で彼らを取り締まることは極めて困難なのです」

 日本にとって最大の脅威である北朝鮮の核開発は、皮肉にも日本の科学技術の“貢献”によって進歩を遂げていたのである。

「特集 『張り子の水爆』で『金正恩』第一書記の残日録」より

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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