理事返り咲きを狙う「九重親方」が横綱白鵬に接近中

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 権力は人を酔わせる、という言葉がある。事実、権力の味を忘れられない九重親方(60)は、相撲協会の理事に返り咲きを果たすべく、工作活動を展開中なのだ。弟弟子にあたる八角理事長(52)を手なずける一方で、現在、横綱白鵬(30)にも接近しているという。

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蜜月に……

 昨年の12月20日、都内のホテルで、史上最多33回の幕内優勝を達成した、横綱白鵬の祝賀パーティが開催された。

 スポーツ紙の記者によれば、

「冒頭、白鵬は北の湖前理事長の遺影を手に登壇し、“本来なら今日、ここにいる予定だった”などと挨拶していた。来賓として、森喜朗、鳩山由紀夫の2人の元首相や馳浩文科大臣、歌手の北島三郎なども駆けつけました。実は、そこに意外な人物も顔を見せていた。それは、九重親方です。もともとモンゴル力士のなかでは、朝青龍と近かったため、ライバル関係にある白鵬とは距離を置いていたはずです。だから、珍しいなと……」

 なぜ、九重親方と白鵬の2人は近づいているのか。

 大相撲の初場所は、1月10日から24日にかけて行われ、その後に予定されているのが相撲協会の理事候補選である。

 当然、2年前の選挙で苦杯を嘗め、監察委員という閑職に追いやられた九重親方が復権を目論んでいるのは間違いない。

 ベテランの相撲ジャーナリストが解説する。

「選挙では10人の理事を選ぶわけですが、投票権を持つ97人の親方のうち、九重親方の属する高砂一門には12人しかいません。当選確実ラインは10票と見られ、同じ高砂一門から八角理事長を選出すれば、残る票はほとんどない。九重親方が返り咲きを果たすには、他の一門から票を回してもらうほかありません。横綱は理事選の票は持っていませんが、史上最多優勝を誇る白鵬なら、その影響力は大きく、九重親方は票集めに利用できると考えているのです」

■母親の猛反対

 一方、白鵬にもメリットはあるという。

 モンゴル力士に詳しい角界関係者がこう話す。

「相撲協会に多大な貢献をした力士には、一代年寄が贈られることになっています。これまで、大鵬、北の湖、貴乃花が手にしてきました。実績を考慮すれば、引退後の白鵬に贈られたとしても、なんの不思議もありません」

 しかし、相撲協会の内規によると、年寄襲名は日本国籍を有する者に限られている。

「実は、白鵬の母親が彼の帰化に猛反対なのです。9年前、白鵬は日本人女性と結婚しましたが、母親が認めてくれないのはわかっていたので、結局、事後報告というかたちを取らざるを得なかった。なので、白鵬は帰化することなく、角界に親方として留まろうとしている。そこで、弟弟子の八角理事長に影響力を発揮できる九重親方に近づけば、相撲協会の内規変更を働きかけてもらえるのではないかと、考えているわけなのです」(同)

 打算と思惑が渦巻いているのだ。

「ワイド特集 大人たちの通過儀礼」より

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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