個室1つのみ「高級バーバー」、8000円の皇室御用達「ビニール傘」〈日本の超高級品ガイド(6)〉

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 記者が見聞、場合によっては実際にトライしておおくりする「日本の超高級ガイド」。前回紹介した「1600万円のゴルフクラブ」「美女が配膳する高級弁当」に続いて、今回も“趣味・フェティシズム”に関する最高級だ。

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 古典落語『浮世床』は、月代(さかやき)を剃るため、床屋へ日参する洒落者らを描く。そこには待合室があって男たちが屯(たむろ)しているが、21世紀の高級バーバーはそれと様相を異にする。ザ・キャピトルホテル東急14階の「カージュラジャ ティアド」には10畳ほどの個室が1つのみ。応接セットが用意されており、利用者が鉢合わせすることがないよう店側が配慮しているのだ。

ザ・キャピトルホテル東急14階の「カージュラジャ ティアド」

「カットやシャンプーはもちろん、お迎えからお見送りまで私1人で行ないます」

 と話すのは、小林好江さん(45)。シャンプー、カット、シェービングが組み込まれた1万5000円のコースに、ヘッドスパを足した2万1000円のプログラムがお勧めだとか。

「日本人の産毛は黒く影を作りやすい。シェービングではそれらと同時に角質も取るので、くすみがなくなり、お顔が明るくなる。また頭皮も、肩の張りが伝わって凝っていたりします。マッサージで初めてそれを実感する方も多いんですよ」

■園遊会でお使いになられた傘

 さっぱりした後はことに濡れたくないものだから、1952年、世界に先駆けて「ビニール傘」を作った東京・田原町の「ホワイトローズ」へ。創業は享保6年。もとは刻み煙草の卸だったが、子孫が葉を湿気から守るための油紙を使ってレインコートを開発した。それからの紆余曲折は割愛するが、大きな転機は四半世紀ほど前にやってきたのである。

「都議会議員の方から、透明で大きくて丈夫な傘を作ってほしいという要望を受けました。選挙のたびに口コミで拡がり、『カテール』と名付けて販売しております。ちなみに安倍首相は6000円の『シンカテール』を使っています」

 こう話すのは、須藤宰社長(60)だ。そしてその後には、宮内庁からの要請で美智子皇后のための傘を作り、実際、10年の園遊会でお使いになられたという。

「そのタイプは許可を頂き、『縁結(えんゆう)』と名付け、8000円で売り出しました。傘の内側に弁をつけることで、吹き込んだ風を逃がして傘が膨らまないように、外側からの雨は内側に入り込まないようにしたのです。骨はグラスファイバー製ですが風速20メートルまで耐えられる」

「特集 ムダに高いモノもある日本の超高級ガイド」より

週刊新潮 2016年1月14日迎春増大号掲載

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