訴訟の疲れが吹っ飛んだ?「大沢樹生」の怪しい「水素サプリ」

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 気を付けろ、甘い言葉と喜多嶋舞――。息子の「DNA鑑定騒動」を経て、大沢樹生(みきお)(46)は、嫌というほどこの言葉の重みを学んだはずだ。しかし目下、彼が愛飲し、推奨しているのは、〈現代人が待ち望んだ〉〈圧倒的な抗酸化力とデトックス効果と活力増進〉と謳(うた)った水素サプリメント。こうした甘い惹句の健康食品が、怪しくないわけがない。

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貧すれば鈍す?

 1月9日、東京都目黒区内のイタリアン・レストラン。そこに大沢は、黒いストライプのスーツを身に纏(まと)い、大胆に胸元を開け、ホスト然とした出(い)で立ちで現れた。そして彼を待ち受けていた約30人の聴衆は、15分ほどの大沢の講演に聞き入った。その大要は、

「昨年7月頃からこのサプリを飲み始めたら、15年ぶりのライブを1日2回やって、歌って踊っても全然疲れを感じなかった。11月には結膜炎にかかって視力も低下したのが治り、年末に検査したら、ガンマGTPの値が、200から250だったのに65に下がった。例の件でやっと判決が出て、精神的にもドッと疲れが出ていたんですけどね」

 大沢と喜多嶋舞との間の長男を巡る「この子の父親は誰?」騒動は訴訟にまで発展し、昨年11月19日に東京家裁によって大沢の子どもではない旨(むね)の判決が下されている。要は大沢は、この法廷闘争の疲れも、サプリを飲んで吹っ飛んだと宣伝したのだ。

■昭和のスターの8割!?

 大沢が礼賛したのは「Dr's水素セレブ」なるサプリで、1ケース(90粒)2万3760円もする「高級品」だ。しかし、常識で考えれば、1日2回のライブをやっても全く疲れを感じずにいさせてくれるものは麻薬か「思いすごし」くらいしか考え難く、水素サプリで「超人」のようになれるはずもない。同サプリの開発・販売会社の会長に説明を求めると、

「水素は身体の全てにいいんです。全てのものを元に戻す。愛用者は『疲れない』『元気になった』と言っています。疲れないということは病気にならないということ。昭和のスターやスポーツ選手は、8割くらい『Dr's水素セレブ』を飲んでるんじゃないかな。ドバイのロイヤルファミリーの関係者が、600億円で独占契約したいと言ってきたこともあります」

 この話を聞いて、眉に唾せぬ者が果たしてどれだけいるだろうか。そこで、体内における食物のエネルギー変換などを研究する生化学が専門の、千葉大学の山本啓一名誉教授に、このサプリのパンフレットを見てもらった。すると案の定、

「サプリに含まれる鉱物の一種であるゼオライトの働きで、体内に水素が発生するとしていますが、そもそもゼオライトによって生み出されるのは水素イオン。中性の水素と電気を帯びた水素イオンは別物で、混同が見られます。仮にパンフレットの言う水素が水素イオンのことだとしても、クエン酸を含んだレモンや、酢酸が含まれたお酢を摂取することでも、体内に水素イオンは発生する。しかし、レモンを毎日食べ続けて病気が治ったとの話は聞いたことがない。酸の一種であるビタミンCを摂取したほうがよほどマシです」

 大沢の見解や如何(いか)に。

「僕は講演でサプリを絶対に買ってほしいと言ったわけじゃないし、個人的体験談を話しただけ。せっかく芸能の仕事が上手くいきかけているのに、怪しいサプリにハマっていると書かれたら、本当に困るなー」

 だが、大人の世界では大沢のような役回りを広告塔と呼ぶ。ゆえに、こう書かざるを得まい。

 気を付けろ、甘い言葉と大沢樹生――。

「ワイド特集 大人たちの通過儀礼」より

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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