リーグ戦50試合が不発に終わった「本田圭佑」は復活できるか

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 誰にでも、思い返すだけで顔から火が出るような若気の至りというものはある。とはいえ、この人の場合は桁(けた)外れで、それこそ「W杯級」の赤っ恥と言えよう。ビッグマウスで鳴らしてきたサッカー日本代表の本田圭佑(29)は、その大口の万分の一も活躍できず、批判に晒(さら)されてきた。一説には、名門チームでの彼の「選手余命」は4カ月――。

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〈日本初とか興味ない。僕が目指しているのは、はるか先なんで〉

〈(惨敗に終わった2014年のW杯前に、優勝する自信があるかと訊(き)かれて)はい。僕は世界を驚かせることを強く熱望している〉

 今となっては、この本田のビッグマウスぶりは、有言不実行の意味で「世界を驚かせる」ことになっているわけだが、兎(と)にも角(かく)にも本田の体たらくは目に余る。1月9日のイタリア・セリエAでのローマ戦に、エースナンバーの「10」を背負ってACミランの右の中盤として出場した彼は、この日もゴールを決められなかった。これでセリエAのリーグ戦では実に50試合連続、1年3カ月近くノーゴールを継続する「逆金字塔」を打ち立てたのだ。

 ドイツサッカー協会公認S級コーチの鈴木良平氏は、

「名門中の名門であるミランの10番が、50試合もゴールを決められないなんて聞いたことがない。悲惨の一言です。本来のトップ下ではなく、右サイドで起用されている不運もありますが、ミランの10番である以上、ポジションは関係なく、ゴールを奪わなければ意味がありません」

 こう一刀両断。なにしろ本田は、14年のミラン入団時にも、

「チームを変える自信がある」

 と、ビッグマウスを披露しているのだ。「助っ人」として優勝請負人の任を与えられている以上、チームが8位前後をうろついている状況を考えれば、

〈(1月6日の試合で、本田は)20分過ぎから散歩をしていた〉

 こう地元メディアに酷評されても致し方あるまい。

■そもそも合っていない

 スポーツ紙の担当記者が、本田の現状を分析する。

「本田は『(自分が試合に)出るチャンスがないほうがおかしいでしょ?』とクラブ批判をしたため、その後、一層、出場できなくなった。出てもチームメイトからボールが回ってこず、ゴールを決められなくてメディアに叩かれ、より孤立する悪循環に陥っている」

 これでは、今後の復活に関しても、悲観的にならざるを得ない。

「そもそも、縦に速いサッカーが要求されるイタリアのスタイルに、ボールをキープして回す本田のサッカーは合っていない。今季が終わる5月までに、ゴール量産という結果を残さないと、ミラン残留は微妙でしょう。年齢的にもピークを過ぎていますから、日本代表でも彼を特別視して中心を任せる必要はないと思います」(鈴木氏)

 セリエAのシーズンが終わるまで残り4カ月。本田は口ではなく、もげんばかりに足を動かすしかない。それが、有言実行の大人になるための通過儀礼である。

「ワイド特集 大人たちの通過儀礼」より

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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