三谷幸喜「真田丸」の心配は才媛「小林聡美」のチェックがない
『日本百名山』で知られる深田久弥の作品の多くは妻が代筆していたことが後に明らかになっている。実は、ゴーストライターとまではいかなくとも、まず、家族に作品の出来をチェックしてもらう書き手は少なくない。だが、三谷幸喜(54)の場合、才媛の元妻がいないだけに『真田丸』の出来が心配なのだ。
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「内助の功」なしで大丈夫か
1月10日から始まる大河ドラマ『真田丸』は、NHKにとっても起死回生を懸けたものになる。
「大河ドラマはここ5年間、平均視聴率がほぼ右肩下がりになっており、『花燃ゆ』は12%と最低記録を塗り替えてしまいました。そこで主演の堺雅人のほか、大泉洋、木村佳乃といった豪華キャストで固め、人気脚本家の三谷幸喜さんを起用することで、大胆なテコ入れを図ろうとしているのです」(芸能デスク)
それだけに、『古畑任三郎』や『ラヂオの時間』などのヒットを飛ばしてきた三谷にかける期待は大きいのだが、心配なのは、このところ、作品から“冴え”がなくなっているとの指摘があることだ。
映画評論家の北川れい子氏が言う。
「たとえば、三谷さんの最近作『ギャラクシー街道』(2015年10月公開)は、三谷ファンからも酷評され西田敏行、綾瀬はるかといった豪華キャストがまったく生かされていません。宇宙の中のハンバーガーショップといった奇抜な設定で新しい路線を開拓しようとしたのでしょうが、耳が大きかったり鼻がヘンだったりする宇宙人が色々出てきても、どれも笑いがスベってしまっているのです」
内容だけでなく興行的にも大きくスベっている同作品だが、原因を探すと思い当たるのが、5年前に離婚した小林聡美の存在である。
■意外性も奥行もない
前出の芸能デスクが言う。
「小林は女優であるだけでなく、エッセイストとしても十数冊の本を出しており、ユーモアセンスには定評があります。夫婦だった頃は彼女が三谷の作品を読んで注文を付けていたと言われているのです」
やはり「内助の功」が無くなったのが響いているのだろうか。
「たしかに、三谷作品は離婚を境につまらなくなっています」
とは上智大学の碓井広義教授(メディア論)。
「本来の三谷作品の魅力は、登場人物の多面性にあります。たとえば『ラヂオの時間』(1997年)は、鈴木京香演じる主婦が、脚本で入選してラジオドラマ化されるという話。最初はまったくの素人でビクビクしていた彼女が物語が進むにつれ、脚本家として目覚めてゆく様がよく描かれている。ところが、同じ鈴木京香を使った『清須会議』(13年)では、彼女演じる“お市の方”が意外性も奥行もない人物になっていた。もし小林さんがいたら、“女性はこんな単純なものじゃない”と厳しくアドバイスしていたかも知れません」
三谷は離婚後、一般女性と再婚しているが、一方の小林は近作『犬に名前をつける日』に主演、映画ファンの評価も『ギャラクシー街道』を大きく引き離している。04年の『新選組!』から2度目の脚本担当となる三谷、別れた女房のキツいチェックなしで渡る「大河」は深すぎるかも知れない。
「ワイド特集 剣が峰にて一陽来復」より