巣鴨のミシュラン「ラーメン屋」に降り掛かった変事

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 年明けて“初物”は美味しい店で食べたい。行列覚悟で人気店へ足を運ぶ好事家もいるだろう。ミシュランに掲載されたとなれば、さらに人が増えて――となるところ、ある一軒の店が、ひっそり暖簾を下ろした。

 東京・巣鴨はとげぬき地蔵尊にほど近いラーメン店「蔦の葉」が、暮の12月27日を最後に休業したのだ。昨年12月に発売されたばかりの『ミシュランガイド東京 2016』に初掲載のニューカマー。同じ巣鴨にあって、ラーメン店でミシュラン初の一ツ星に輝いた「Japanese Soba Noodles 蔦」は本店にあたる。

 国産小麦を石臼で挽いた自家製麺に、隠し味にトリュフを使う一杯は話題を呼び、ミシュランに本店と支店が並んで掲載されたのだが……。にもかかわらず、掲載から1カ月を待たない形でその快挙は終わりを迎えた。その理由を、オーナーである大西祐貴氏は、自らのブログ『生涯ラーメン一本勝負』でこう綴っている。

〈人手不足もありますが、苦情も多く、すぐとはいきませんが巣鴨から蔦グループは撤退を考えて今の結論に至りました。毎日のようにご意見の電話があり、それに対して現在も色々とやっております〉〈ミシュランは決して悪くありません。むしろ名誉だと私はじめスタッフも思っております。そして決して閉店ではなく休業です〉

 何やら穏やかではないが、本店、支店共に細い道路に面した建物で、行列への苦情が絶えなかったという。店先にも“店舗継続のためご協力ください”と整列を促す張り紙があり、整理券を配って客の来店時刻を決めるなど、改善に努めていた矢先だった。

“自称日本一ラーメンを食べた男”でラーメン評論家の大崎裕史氏が言う。

「都内でもつけ麺が人気の『六厘舎』さんや『勢得』さんは、行列問題で店を一時閉めて移転しました。『蔦』さんは整理券で対処されていますが、他店でも同様の対応をとる所がここ最近は増えていますね」

 人気者はつらいよ。

週刊新潮 2016年1月14日迎春増大号掲載

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