叙勲狙いと勘繰られるメガバンク「政治献金」復活

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 地位、権力、そして富を手に入れた者が、次に欲するのは名誉だと相場が決まっている。現在、全国銀行協会の会長を務める、みずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博社長(63)の場合はどうか。

 みずほFGを筆頭に三菱UFJFG、三井住友FGは昨年末、自民党に対してそれぞれ約2000万円の政治献金を行った。自民党関係者によれば、

「3メガバンクの政治献金は、実に18年ぶり。1990年代後半に銀行による大蔵官僚への過剰接待が発覚し、その後に公的資金が注入されたので、世間の反発を恐れて政治献金を中断せざるを得ませんでした」

 再開した理由をみずほFGに聞くと、

「社会貢献の一環として行ったものです」(コーポレート・コミュニケーション部)

 と、預金者にはまったく理解できない回答。経済ジャーナリストが苦笑する。

「政治献金再開のウラの狙いは、“勲章”をもらうことです。公的資金注入以前、銀行は電力、鉄鋼と並び“献金御三家”と呼ばれていて、頭取はむろんのこと、役員経験者も叙勲の対象だった。それがこの18年間、メガバンクの役員は誰一人として勲章をもらえていません」

 叙勲の対象者を“推薦”する金融庁総務企画局の説明では、旧三井銀行の神谷健一元社長が、95年に勲一等瑞宝章を受章したのが最後だったという。

「一昨年から経団連が加盟企業に政治献金を呼びかけたことも、メガバンクには渡りに船だった。政治献金を復活させたことで、佐藤さんも引退後に叙勲の対象になるのは確実です」(同)

 ちなみに、大先輩である中山素平氏は、99歳で泉下の人になるまで勲章を辞退し続けていた。

週刊新潮 2016年1月14日迎春増大号掲載

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