「東芝」大リストラで伝統「野球部」も存続危機
今年の干支は丙申(ひのえさる)だ。これまでの努力が形になる年だと言うが、不正会計問題で迷走を続ける東芝にはどんな年になるのか。室町正志社長は昨年12月21日、財務の健全化を理由に家電部門の大幅縮小と、従業員1万人超の解雇を発表。だが、それだけでは再建の道筋はつかないのだ。
「後ろ向きな姿勢ばかり示すわけにはいかない」
昨年末、室町社長は朝日新聞のインタビューに対して、国民的アニメ『サザエさん』のスポンサー継続を明言した。
「『サザエさん』を観た後、憂鬱になるサラリーマンやOLは少なくないと聞くが、我々は“明日から頑張ろう”という気持ちになる。室町社長の決断を知って、ホッとしています」
こう笑みを浮かべる社員がいる一方で、中堅幹部の表情は暗い。
「果たして、スポンサーをいつまで続けられるかわかりませんよ。サザエさんと同じく、社員の誇りである運動部の存続も黄信号が点っています。毎年、会社から億単位の部費が支給されていますが、今後はこれまで通りというわけにはいかないでしょうから……」
目下、東芝は全国大会のタイトルを10回獲得したバスケットボール部、日本代表の主将・リーチマイケルが所属するラグビー部、そして野球部などを抱えている。
「1958年創部の野球部は、都市対抗野球大会の常連で過去7回の優勝を誇る強豪チーム。中日ドラゴンズの落合博満元監督を始め、プロ野球選手も数多く輩出しています」(同)
そんな伝統チームとはいえ、会社が左前では存続が危ぶまれるのは当然だ。全国紙の経済部記者もこう指摘する。
「東芝は、今年3月期決算で3400億円の営業赤字を見込んでいます。赤字を垂れ流してきた家電部門の縮小のみならず、将来性のあるヘルスケア事業の『東芝メディカルシステムズ』を売却する方針も明らかにした。とても、運動部へ巨額の資金を投じられる余裕などありません」
“社員の誇り”さえリストラに直面する東芝。当分の間は茨の道が続きそうだ。