【独占手記】「大相撲野球賭博事件」首謀者が激白! 全ては野球賭博の常習大関「豪栄道」の負け金400万円から始まった!――古市満朝
■太い客
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古市氏の実家は「古市道場」という、関西地方ではよく知られたアマチュア相撲の道場。氏はそこで父親に相撲を学び、貴乃花親方らと同じ1988年に初土俵を踏んだ。が、現役時代はケガに悩まされ、十両昇進を果たせないまま角界を去ったのは97年。引退後、九州の暴力団に属していた時期がある。ちなみに、大関豪栄道も古市道場の出身だ。
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相撲取りやってる時は一切バクチはしなかったんですよ。野球賭博はヤクザの世界におる時に趣味として始めて、それがシノギになって、ヤクザやめてからもずっとやり続けることになった。自分が賭けるだけじゃなくて、人の玉(ぎょく)(賭け金)を受けるようになったのはいつからだったか……。自分で10万円張って勝っても手数料を1割抜かれて9万円しかもらえへんけど、人が賭けてきた10万を握って勝てば10万まるまる儲かる。「この1割の差は大きい」と納得させられて、皆仲介者になるんです。
分かりにくいでしょうからもう少し説明すると、例えば、巨人・阪神戦で、自分は10万円を巨人に賭けようとしていたとする。そこへ、客が阪神に10万円を賭けてきた。この場合、自分で巨人に賭けるのは止めて客が阪神に賭けてきた10万円を握る。めでたく巨人が勝てば、その10万円はまるまる自分のものです。ただ、客の賭け金を全て握っていたら、客側が大勝した時に払えなくなってしまうので、賭け金の一部、あるいは大部分は他の仲介者や胴元に流す。俺の場合、それが梓弓だった。ハンデ、張り先、握り方、流し先。一部を握って一部を流す……。その塩梅が野球賭博の醍醐味です。全部が分かり、気付いた時にはどっぷりハマッている。麻薬とかシャブと一緒です。興味本位で手を出し、いつしかそれをさばく側に回っている。
豪栄道は、元々は俺じゃなくて弟の客やったんです。弟の客になる前にも豪栄道は余所に張っていて、それを聞いた弟がどこかの場所中に「どうなん?」と聞いたら「古市さんのところでも張れるんですか」という話になった。野球賭博は仲介者によって使うハンデが微妙に違う。豪栄道はそれを使い分けるために弟のところにも張るようになった。
弟と豪栄道のやり取りは電話かメール。15時頃にハンデをメールすると、17時頃までに連絡がある。例えば、巨人に10万なら〈巨 10〉と書いたメールを送ってくる。豪栄道は1試合に10万とか20万を平気で張ってくる、弟にとっては太い客だった。その上、負けがこんでくると1試合に50万とか100万とか、アホみたいな賭け方をするのです。
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