「橋下徹」が参院選出馬で250万票 日本列島が蒼ざめる「最悪シナリオ」2016(5)

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『新英和笑辞典』には、politics(政治)【準備のいらない唯一の職業】とある。

 去る12月18日、任期満了で大阪市長を退任した橋下徹氏(46)は、引退後について、「明日からは私人」としたのだが、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、

「会見では、憲法改正にこれまでになく踏み込んで言及しており、国政進出の意欲を強く感じさせました。過去に『2万%』をひっくり返したのですから、引退という言葉は信用ならない」

過去に『2万%』をひっくり返したことも。引退という言葉は信用ならない

 と指摘する。権力に一度でも触ったことのある男に、準備など不要なのだ。前言撤回の最短予想は16年夏の参院選。政治評論家の浅川博忠氏によると、

「これまでの最多得票は石原慎太郎さんの301万。橋下さんが出れば、立て板に水の語り口で“風”が吹き、250万以上の票を得る可能性があります」

 この橋下票だけで、「おおさか維新」はざっと5議席を確保しそうだが、

「全国政党として候補者を広く擁立すれば、20議席に手が届く」(同)

 安倍首相の悲願である憲法改正には、衆参共に3分の2を固める必要がある。参院ではそれがままならず、「あと28」という情勢なのだ。むろん、議席を積み上げればそれだけ、閣外協力や連立入りが見えてくる。

「その場合、橋下さんには地方創生担当相などのポストが用意されるはず。よしんば公明党より多くの議席を手にしたときには、副総理との兼務もある」(同)

 もっとも、そうやって権力の階段を一足飛びに駆け上る橋下氏に陥穽がないわけではない。先の鈴木氏が、

「橋下さんの持論は地方分権なのに、それと真逆のポリシーを訴える自民党と同じ船に乗ろうとしている。説明がつきませんよ」

 と突き放す一方で、浅川氏はこう評する。

「言いっ放しのポピュリズムでは、霞が関の官僚はそっぽを向く。そうなれば、政策の実行など絵空事。ひいては国民の失望につながっていくのです」

 先の辞典のpolitician(政治屋)の項には、【選挙前にはきみの手を握り、あとでは足を引っぱる人】とも記されているのである。

「特集 日本列島が蒼ざめる『最悪シナリオ』2016」より

週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

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