複雑だけどそこがいい!『スターウォーズ』ヴァージョン違い問題
■複数のヴァージョンが存在する
先日、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開に併せて、テレビでは第1作の『スター・ウォーズ』を放送していたので、ご覧になった方も多いだろう。久しぶりに見て、「やっぱり面白い」と思った方もいるかもしれない。
しかし、現在見ることができる『スター・ウォーズ』(エピソード4)は、1977年の劇場公開版とは様々な点で変わっている。これはエピソード4に限った話ではない。
『スター・ウォーズ』の場合、各エピソードに多様なヴァージョンが存在し、そのことがファンの間では大きな議論になっているのだ。
一体どういうことか。
『スター・ウォーズ学』(清水節・柴尾英令著)から、解説箇所をご紹介しよう(以下は同書より)
***
たとえば『エピソード4』ひとつをとってみても、1977年の劇場公開版とVHS版、THX‐LD版、『特別編』、DVD版、ブルーレイ版と、リリースするたびにその内容が様々な点で変わっている。
なにしろ、公開時『スター・ウォーズ』だけだったタイトルが、大ヒットによってシリーズ化が決定してから、はじめて「Episode Ⅳ:A NEW HOPE」の副題がつけられた。このタイトルが画面に入るのはVHS版からである。
■ハン・ソロの性格が変わった?
DVD版ではCG(コンピュータ・グラフィックス)が大量に入り、新たな編集も加わった。有名なのは、酒場でハン・ソロと賞金稼ぎのグリードが撃ち合うシーン。
もともと先に発砲していたのはハン・ソロだったが、グリードが先に(あるいは同時に)発砲したようにわざわざ変更されたのだ。
これは、「相手が発砲する前に撃ち殺すなんて、ハン・ソロはそんな冷酷な人物ではない」というジョージ・ルーカスの指示によって行われた。
しかしこの改変は、ハン・ソロというキャラクター造形を揺るがす「大事件」として論争にまでなった。
巨体を揺らす姿が印象的な、犯罪組織ハット・カルテルの首領であるジャバ・ザ・ハットも、実は劇場公開時には登場しなかった。一度ボツになったシーンに後からCGで加えられたのだが、もともとの動きと目線を合わせるように上書きされたジャバ・ザ・ハットの姿はどうもいびつだ。
***
この他にも、劇場公開時には出演していたのに「消されて」しまった俳優までいるという。『スター・ウォーズ学』によれば、こうした度重なる変更は、ファンの間では今も物議を醸しているそうだが、そうした議論もまた愉しみの一つなのかもしれない。