泡が弾ける“ラムネの湯”(大分県) 全国「濃すぎる温泉」体験記(8)

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 全国の「濃すぎる温泉」を訪れる旅。次の温泉の特徴はというと……。

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 大分県の竹田市にあり、日本一の炭酸泉といわれる七里田(しちりだ)温泉に向かった。七里田温泉館で2つの立ち寄り湯を体験するのが目的だ。

 まずは「木乃葉の湯」と名づけられた内湯から。ここにも炭酸は含まれているが、泡立ってはいない。色は濁った緑茶のようで、臭いはほとんどしない。しかし、目的は「ラムネの湯」と呼ばれる下湯である。

 坂道を下って畑や民家の間を1、2分歩くと、「日本無類の炭酸泉」という誇らしげな看板が見える。鍵を開けて中に入り、階段を3段降りると、浴槽の周囲の床は一面、かさぶたのような赤褐色で、心なしか鉄の臭いがするが、お湯は澄んでいて、小さな泡があちこちで弾けている。

 入浴すると4、5秒で全身に泡がつき、体毛の先まで覆われた。水面ではひっきりなしに泡が弾け、ポリデントに入れた入れ歯のようだ。身体に文字や絵を書いて遊ぶこともできて飽きない。だが、浴槽の温度は36度ほどとぬるく、肌への刺激もない。調子に乗ってお湯を一口飲むと、鉄の味なのか、しょっぱかった。

 支配人の田崎誌朗さんに話を聞いた。

「木乃葉の湯にも遊離炭酸が1キロ中300ミリグラム含まれていますが、温度が高いので泡が浮かびません。一方、ラムネの湯の遊離炭酸は1000ミリグラム以上で、滅多にない水準です」

 飲むと胃腸によいからと、二日酔いの人がやかんに汲んでいくこともあるという。以前は換気がしっかりしておらず、ガスが溜まって危険だったとか。快楽に危険はつきものなのか。

■七里田温泉館

(大分県竹田市)
 日帰り入浴 木の葉の湯300円 ラムネの湯500円(別途鍵の補償金1000円)
(電話)0974-77-2686

「特集 2分以上は浸かれない? 全国『濃すぎる温泉』体験記」より

週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載

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