「ゴルゴ」から「フチ子」まで大キャンペーン「養命酒」の怪

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「養命酒」と聞いて、どういうイメージをお持ちでしょうか。昔ながらの薬用酒、とはご存知でも、製造元である養命酒製造株式会社が東証一部上場企業で、その創業は慶長7(1602)年、江戸幕府開闢(かいびゃく)の前年であることは? その老舗中の老舗が、宣伝法を模索し続けているということは?

 現在、同社が行っているキャンペーンは、「コップのフチ子」とのコラボ。フチ子とは、コップの縁に飾る小さな女性フィギュア。その人気ゆえ、ディズニーからスター・ウォーズまで様々なコラボバージョンが登場。そこへ養命酒、である。

「養命酒のフチ子さんは、ニットキャップやケープ、ブーツに養命酒のフィギュアつきで、冷え性にも効く養命酒をアピールします」

 とは同社のマーケティング担当。奇抜な宣伝活動は、今に始まったことではない。

「昭和30年代にはバスを宣伝カーに仕立てたそうです」

 ラッピング・バスのハシリである。ウェアラブル端末が流行りだすと、ウェアラブル養命酒として、養命酒のラベル柄“腹巻き”も開発! 近年では「ゴルゴ13」とのコラボが話題に。

「最初は2013年5月に“ゴルゴ13 胃腸の危機”と題し、ネットでゴルゴ13から出題される疲れやストレスについての質問に答えて頂いた中から、彼の代名詞であるアタッシュケース(養命酒入り)をプレゼントしました。当初、原作のさいとう・たかを先生もふざけ過ぎと思われたようですが、最近は楽しまれていると」

 そのためか第2弾は“疲労の黒幕”、昨年は“疲労の叫び 裏切りの胃腸クライシス”。そして今年が“疲労のうめき 偽りの胃腸バーニング”とエスカレートし、養命酒を入れたらいいのか、スキットルまで製作。

「ネット広告を出してもマジメだけでは広まりません。口の端に上るよう、あえて翔んだものを作ろうと……」

 わずか5つのアタッシュケースに、応募が3万〜4万通! 歴史に胡坐をかかないところが400年余を生き抜く知恵か。

週刊新潮 2015年12月17日号掲載

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