パソコン事業「3社統合」仕掛け人の正体

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 ついに、我が国のパソコン事業のサバイバル戦争も最終局面か。ソニーから独立したVAIOと富士通、そして混乱の続く東芝。3社のパソコン事業統合が報じられたが、背後には仕掛け人がいた。

 事業統合が実現すれば、国内シェアは30%を超え、NECレノボ連合を抜いてトップに立つことになる。

「この統合は、まず東芝の救済が目的です」

 こう解説するのは全国紙の経済部記者だ。

「30年前、世界初のノート型パソコンを発売した東芝も、近年はライバル企業にシェアを奪われて苦戦中。パソコン事業の15年3月期の売上は6663億円ですが赤字続きです。その上、不正会計の水増し額は578億円に上り、東芝社内でも“不正の温床”だと囁かれています」

 事業統合後の存続会社は、昨年7月に産声を上げたばかりのVAIOだという。つまり、小が大を飲み込む格好だ。M&Aに詳しいメガバンクの行員によれば、

「統合の仕掛け人は、日本産業パートナーズの馬上社長だと目されています」

 日本産業パートナーズの馬上英実社長(60)は、日本興業銀行(現みずほ銀行)出身の銀行マン。13年前に独立して会社を立ち上げた。そしてVAIOの独立に力を振るい、株式を90%以上保有している。

「東大経済学部卒の彼は、米国のペンシルベニア大学ウォートン校への留学経験もある国際派。銀行員時代は、ロンドン支店などを経て子会社の証券会社でM&Aの業務に携わっていました。米国の投資会社『ベインキャピタル』と組んで大手ファミリーレストランチェーン『すかいらーく』に出資したり、インターネット関連企業『NECビッグローブ』の全株を取得して話題になりました」(同)

 馬上氏は、経産省の意向も汲んで動いているという。家電メーカーの幹部によれば、

「東芝がパソコン事業から撤退すれば、大量の技術者が失業する。経産省は彼らが中国や韓国のライバル企業からスカウトされることを恐れ、彼らの“受け皿”を必要としているのです」

 統合の成否は、まだ予断を許さない。

週刊新潮 2015年12月17日号掲載

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