異論続出! 『「平熱37℃」で病気知らずの体をつくる』という健康本

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 巷に溢れる“健康本”の中には、異論が続出している健康法がある。例えば、クリニック真健庵の吉村尚美院長が提唱する、『「平熱37℃」で病気知らずの体をつくる』というのもその一つ。なぜ、世には怪しい健康法が多くあるのだろうか――。

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人間は定温動物であると理科の授業で習ったはず……

『「平熱37℃」で病気知らずの体をつくる』で説明されるのは、以下である。人間が生命活動を維持するための重要な酵素が活発に働くのは、37度前後。低体温は、老化スピードを早め、免疫力も低下させるから、がんや脳梗塞、心臓病など重篤な疾患の引き金になる。従って、体を温める食事を摂ったり、エクササイズで体を動かしたりして、平熱を37度にすることが肝心なのだとか。

 ところが、

「実は、これまでの調査では、むしろ低体温の人の方が長寿というデータが多いくらいなのです」

 と明かすのは、おおたけ消化器内科クリニックの大竹真一郎院長である。

「たとえば、米国ボルチモアで65歳以上の男性約700人を20年以上、追跡調査した結果、長生きするのは、体温が低い人が多かった。さらに、遺伝子操作で通常よりも体温を0・3~0・5度低くしたマウスでも同様でした。万一、体温が高い方が長生きだとしても、どちらにしたって、人間は体温をコントロールできないのですから、その健康法は何の意味もないのです」

 確かに、人間は定温動物であると理科の授業で習ったはず。

 なぜ、巷には怪しい健康法がはびこるのか。

 医師で医療ジャーナリストの森田豊氏がこう語る。

「世はまさに健康ブームです。テレビをつければ、健康ノウハウを紹介する番組が流れ、本屋にもその類の本が所狭しと並んでいる。その背景には、高齢化社会による国民の健康志向の高まりがある。ただ、問題は、“トンデモ健康法”がそこに紛れ込んでいること。それを見分けるのは一般人には簡単ではありませんが、ポイントは医学的根拠があるかどうか。著者の素性を確認するのも大事ですが、たとえ、医師という肩書でも、商売のために突飛なことを書く人もいますから注意が必要です」

 間違った健康法を鵜呑みにして、逆に健康を害するほど馬鹿らしいことはないのだ。

「特集 巷にはびこる『怪しい健康法』の真贋判定」

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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