「樋口可南子」が仰天したベルギーからの「贈り物」

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 ベルギーの首都ブリュッセルでテロの警戒水準が最高レベルに高まった11月21日。地下鉄が閉鎖され、コンサート会場など人が集まる場所に行かないよう、ベルギー内務省が呼びかける中、市内のレストランでは夕食会が開かれていた。

樋口可南子

「前日までは観光客もいましたが、当日になってセレモニーも急遽キャンセル。ホテルで待機し夕方になって50人ほどの食事会に」

 とは松竹の映画プロデューサー、小松貴子さん。たった1人でベルギー入りしたのは、第40回ブリュッセル国際映画祭に参加するため。この日が最終日だった。

「食事を終えた頃、そのレストラン内で各賞の発表と授賞式が始まったんです。でも私はフランス語がわからなくて……、『愛を積むひと』が何か受賞したことはわかったんですが」(同)

 ようやく樋口可南子(56)の最優秀女優賞を知り、トロフィーを受け取ると、写メを樋口に送った。

「“キャー嬉しい! でもそんな所に行っていたの? 無事に帰ってね”という返事が来ました。樋口さんもご存じなかったので、とても驚かれたようです」(同)

 ブリュッセル国際映画祭と聞いてピンと来る人はなかなかいないはずだ。昨年まではインディペンデント系の映画祭であり、邦画が上映されたこともない。規模が拡大された今回、カンヌ国際映画祭の折に開かれたマーケットで同作が上映され、審査員の目にとまり、コンペ出品の機会を得たという。映画評論家の北川れい子氏は、

「第二の人生を北海道で過ごそうと移住した夫婦の物語ですが、夫を思いつつ病死する要役が樋口さんで、佐藤浩市演ずる夫を気遣い、自宅のあちこちに手紙を残すというストーリー。日本でも絶滅危惧種のような女性像で、きっと樋口さんご自身も違うタイプと思いますけど、熱演型でないからこそ嫌味なく見ることが出来ましたね」

 受賞のトロフィーは、11月27日、無事に樋口の元に届けられた。海外の映画賞は初めてという樋口、和装で出迎えたという。

週刊新潮 2015年12月10日号掲載

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