“雅子妃を治せる”という『首は絶対にもんではいけない!』作者の主張
健康に勝る宝なしとはよく言われるが、世に数多ある健康本の中には、真贋不確かな著があるのも事実。今回紹介する“もんではいけない”という健康法はどうか。
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首を“もんではいけない”という健康法はどうか。
その著作は、東京脳神経センターの松井孝嘉理事長が書いた、『首は絶対にもんではいけない!』である。
ちなみに、松井理事長は2008年に亡くなったフランク永井の主治医を1987年末から3年間務めたこともあったという。
以下は、その健康法の概略。
頭を支えているために、首の筋肉は体のなかでも、最も凝りやすい。だが、首の後ろには、“副交感神経センター”なる部分があるため、不用意なマッサージやストレッチはしてはいけない。その部分を傷つけると、自律神経失調症を患ったり、動悸やめまい、頭痛などを生じることになる。それゆえ、頭を前後左右にゆっくりと倒して、首まわりの筋肉を伸縮させるという“松井式555体操”でほぐすのが重要だというもの。
■解剖学をご存じない
だが、『医者が絶対にすすめない「健康法」』などの著書がある、新潟大学の岡田正彦名誉教授はこれに首を傾げる。
「人間の体は、血管や臓器のさまざまなところに交感神経と副交感神経が存在し、機能調節を行っているので、首の後ろだけ、“副交感神経センター”と呼ぶのは正しくない。解剖学をご存じないのかもしれません。ですが、脳に血液を送る頸動脈が走っている首はデリケートな部分なので、揉んではいけないという意見には賛成です。ただ、それと同じ理屈ならば、首まわりの体操とやらも避けるべきではないでしょうか」
結局、“松井式555体操”も揉むのと変わりはないのではないかという。
当然、首の専門家をウリにする、松井理事長は黙っていない。
「その批判は、的外れ。首にどういう筋肉があるのかが分かっていない。頭が重い、イライラするなどの不定愁訴は、原因不明とされていますが、頸筋の凝りをほぐすことで完治します。雅子妃にしても、首の異常が引き起こした、自律神経の不調によるうつであることはほぼ間違いありません。私なら、絶対に治せます」
むろん、宮内庁がすんなりその提案を受け入れるわけもないが……。
「特集 巷にはびこる『怪しい健康法』の真贋判定」