大リーグ「前田健太」を容認した広島カープの「算盤」

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 広島カープのエース、前田健太(27)がメジャーに挑戦する。

 前田が海外FA権を取得するのは2017年オフ。つまり、それ以前にメジャーに行くには球団がポスティング(入札)に掛けるしかないわけだが、スポーツ紙デスクによると、

「かねてより前田は球団にポスティングを懇願していました。そして今オフ、ついに球団が容認したのです」

 そこで、どうしても比較してしまうのが、前田と同い年で、一足早く2年前にニューヨーク・ヤンキースに入団した田中将大である。

「田中は13年、24勝無敗で、楽天初優勝の立役者となり、オフに晴れてポスティングとなった。一方の前田は、今季15勝8敗。チームも、優勝候補に挙げられながら、混セにあって一度も首位に立つことなく、結局4位に甘んじた」

 それでも、球団がポスティングを容認したのには理由があった。

「前田は、シーズン通して最も活躍した先発投手に贈られる“沢村賞”を受賞しました。これが“有終の美”という大義名分になっているわけ。でも、それはあくまでも表向きの理由です」

 本当の理由は?

「カープの“懐事情”ですよ。元メジャーリーガーの黒田博樹がいるでしょ。1年前、メジャーでの年俸21億円を捨てて、カープにたった4億円で復帰したので、“男気”なんていわれて絶賛されましたが、カープにとっては4億円だって大金ですからね。しかも今季の黒田は11勝8敗なので、むしろ高いくらいですよ」

 そこにきて、前田である。今季年俸は3億円。来季も契約を結ぶなら上乗せは必至だ。到底手元に置いておけないだろう。しかも、

「球団に20億円の入札金が入る現ポスティング制度は今年が事実上、最終年。来年以降は日本に更に不利な制度になる可能性が高い」

 それにしても、前田の年俸足すことの入札金で、締めて23億円! いったい何に使うのかしらん。

週刊新潮 2015年12月17日号掲載

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