狙い目は“株”か“投信”か? 帝国ホテルの株vs.ジャパン・ホテル・リート投資法人 臆病な素人投資家が3年後に笑うのはどっちだ?(2)

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 インバウンド(訪日外国人観光客)需要の恩恵に与(あずか)るのはホテル業界も同様。続いて俎上に載せるのはこの両者である。

【帝国ホテルの株vs.ジャパン・ホテル・リート投資法人】

 概して都心のホテルでは「全館満室」が続き、ビジネスホテルの「アパホテル」の一室が一泊3万円にまで高騰する事態となっている。

帝国ホテル

「コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ」の玉川陽介代表は言う。

「ホテル業界の活況は、アベノミクスに導かれた円安とビザ発行枠の拡大による訪日外国人増加を受けてのこと。この2つが維持される限り、ホテルの客室単価、宿泊率は2020年の東京オリンピックまで高位安定することは疑いのないところです」

 ホテルの生命線は客室、レストラン、宴会場などの稼働率であり、それらが上がれば、そのぶん収益も上昇する。

■敷地の含み資産も

 さらに、帝国ホテルの強みについて語るのは、「ファイナンシャルリサーチ」代表の深野康彦氏である。

「東京オリンピックの開催が決まって以降、帝国ホテル周辺の地価が上昇していますので、ホテルの敷地の含み資産も上がるはずです。そうした資産は株価にも反映されますから、キャピタルゲインを得ようとする人には良いでしょうね」

3年後の値上がり具合はいかに?

 片やジャパン・ホテル・リート投資法人。リートというのは、不動産投資信託である。なかでもこの会社は都内のみならず、札幌、浦安、京都、広島、福岡、那覇など主要都市のホテルの建物を購入し、ホテル側と賃貸契約を結ぶ。そして得られた賃貸収益から投資家に分配するわけだ。

「利益の9割超を配当金として還元してくれるので、利回りという面だけであればリート投資法人の方がいいかもしれません」(同)

 とはいえ同社の場合、固定賃料契約が7割も占めている。大地震などのリスクにはある程度強いが、これまで述べてきたインバウンドのようなビジネスチャンスには、臨機応変に対応できないことを意味している。

 先の玉川氏がリート全体の弱点を指摘して、

「日銀の買い入れも手伝って、時価を超えて大幅に買い進まれているのは明らか。これから現物の不動産市場にかなりのバブル、あるいは賃料の急上昇が起きなければ、高値の説明が付きません。そうした現象が起きるとは考えづらく、遅かれ早かれ妥当な価格まで下落するでしょう」

 よって帝国ホテル株を買うのが正解。いくら配当が良くても値下がりしては元も子もないのだから。

「特別読物 臆病な素人投資家が3年後に笑うのはどっちだ?――西所正道(ノンフィクションライター)」より

西所正道(にしどころ・まさみち)
1961年奈良県生まれ。著書に『五輪の十字架』『「上海東亜同文書院」風雲録』 『そのツラさは、病気です』、近著に『絵描き 中島潔 地獄絵一〇〇〇日』がある。

週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載

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