[仏テロ]気付いたら韓国に650人もいるシリア難民の身元調査

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 東京から遥か9700キロも離れたパリで起こった連続テロ事件は、アジア地域に飛び火するのか。気付けばお隣の韓国には、少なくとも650人のシリア難民が到着していた。韓国政府は「人道的在留許可」によって滞在を認めているが、EU各国が同じ「人道」という美名の下に、テロリストをも受け入れた大チョンボを忘れてはなるまい。

 韓国政府が新たに200人のシリア難民の存在を明らかにしたのは、11月18日のことだった。政治部記者が解説する。

「韓国の情報機関である国家情報院が、今年に入って200人のシリア難民が空路で入国し、難民申請を行っていたことを明らかにしたのです。そのうち135人は難民とは認められないものの、人道的見地から在留を許可される“準難民”とされ、残る65人はいまだ審査中だそうです」

 その後、日本の法務省に相当する韓国の法務部が、

「200人のうち、80人が準難民で、120人は審査中」と内訳を訂正した。が、200人ものシリア難民が初めて極東地域に足を踏み入れたことに変わりはない。

「このタイミングでの発表は、パリの事件の実行犯に、難民が含まれていたことを受けたものでしょう。しかも、こういう統計的な報告は最初から法務部が担当すべき案件です。それを、国の存立を脅かすような重大事案を担当する国家情報院が先に扱ったことは、これまでに入国したシリア難民の中にテロを起こしうる人物がいる可能性を認めたようなものです」(同)

 つまり、朴槿恵大統領には国民に対して、「難民にテロリストが含まれている可能性はあるが、適正に対処しているから問題ない」とアピールする狙いがあったというのだ。

■本当の狙い

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏も、テロリストの存在は否定できないと話す。

「懸念されるのは、韓国の中東情報の収集が手薄になっていることです。国家情報院の北朝鮮対策はさすがに万全ですが、それは優秀な人材のほとんどを38度線に投入しているからです。その分、難民を受け入れている割にはシリアやISの情報を十分には持ち合わせていないと聞きます。自国民がISに捕らわれた経験がなく、これまで中東の専門家が育つ機会もなかったようですが……」

 韓国が難民受け入れを本格化したのは、李明博大統領時代の2012年だった。

「李政権は“多文化共生”を掲げて難民法を制定しました。が、本当の狙いは別にあったのです。1つは11年に始まったシリア内戦による難民を受け入れることで、石油資源を持つ中東諸国と友好な関係を構築すること。もう1つは朝鮮半島有事の際、北朝鮮から押し寄せる難民に工作員が紛れていても完全に選別する能力があると、北朝鮮や在韓米軍にアピールすることでした」(外信部デスク)

 無差別テロの次の舞台にならないことを祈るばかりである。

「うっすら見えてきた『地下組織』の衝撃 『イスラム国』大規模テロの不穏な幕間」より

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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