[仏テロ]テロに遭遇した時の3原則「ラン! ハイド! ファイト!」

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 万が一、今回のような無差別発砲テロに遭遇した場合、あなたならどう行動しますか? そう問われて、すらすらと答えられる日本人はそれほど多くないに違いない。いざという時、冷静に対処するために何より必要なのは正しい「知識」だが、それを過不足なく得ることができるありがたい動画が存在するのだ。

〈RUN.Hide.Fight.Surviving an Active Shooter Event〉(逃げる、隠れる、戦う 乱射事件を生き延びる)というのがその動画に付けられたタイトルである。

「動画は2012年にアメリカのテキサス州ヒューストン市と国土安全保障局が作成したもので、FBIのホームページでも公開されています。パリのテロ以降、無差別発砲テロへの“対処法”を分かりやすく伝えてくれる動画として話題になっており、YouTubeには日本語字幕が付いたバージョンもあるのです」(在米ジャーナリスト)

 動画は全部でおよそ6分。その「重要場面」を再現してみたい。

ナレーター「それはいつもと変わらないオフィスでのことかも知れない。だが、ときにそれは日常というよりもアクション映画のようなものになってしまう」

 画面に映し出されているのは、スタンダードなオフィスの風景。画面が切り替わると、バックパックを背負った全身黒ずくめのマッチョな男がビルに向かって歩いてくる。警備員の脇をすり抜けた男はバックパックからショットガンを取り出す。そして発砲――。

■専門家が太鼓判

ナレーター「3つの行動ができるかどうか。それが生き残れるかどうかを決するかも知れないのだ。それは、逃げる、隠れる、戦う」

 女性スタッフがおびえた様子で辺りを警戒している。

ナレーター「いの一番にやるべきは、逃げること。常に逃げること、避難することが大切だ」

 オフィスのスタッフが声をかけ合いながら逃げる様子が映し出された後、“まとめテロップ”が出る。

〈逃げる――脱出ルートがあれば避難する/他の人が賛成でも反対でも逃げる/持ち物はそのままにして逃げる/可能であれば、他の人が逃げるのを助ける〉

ナレーター「安全に逃げることができなければ、隠れる場所を見つけよう」

 オフィスのスタッフがコピー機などでバリケードを作った部屋に隠れる様子が映され、再びテロップ。

〈隠れる――ドアに鍵をかける/携帯電話の音を消す/静かにしている/撃たれても避けられる遮蔽物がある/次の行動を邪魔するものがないこと〉

ナレーター「あなたの命が危機にさらされた場合、最後の手段として戦おう! 気合を入れて行動しよう。即席の武器を作ろう。犯人を無力化しよう」

 消火器や椅子を持って犯人に立ち向かおうとしている人々。画面に表示されたテロップにはこうある。

〈戦う――満身の力を振り絞って行動しよう/あなたの命はあなたの行動にかかっている〉

ナレーター「このような事件の場合、被害者はランダムに選ばれてしまう。事態は予測することができず、急展開する」

 動画を見た軍事ジャーナリストの世良光弘氏は、

「非常によくできた動画ですね。無差別発砲事件などが起こった場合、多くの人はパニックに陥って頭が真っ白になってしまうでしょう。こういう動画を見てやるべきことが頭に入っているかどうかで生き残れる可能性もかなり違ってくるでしょうね。この動画には誰でもできる生きるためのメソッドが提示されています」

 専門家が太鼓判を押す「必見動画」なのである

「うっすら見えてきた『地下組織』の衝撃 『イスラム国』大規模テロの不穏な幕間」より

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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