[仏テロ] 日本は「イスラム国情報」をどうやって収集しているのか?

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 海に囲まれた日本は他国に比べてテロリストに侵入される可能性は低い――というのは間違いないが、その一方、イスラム国が日本を明確な「敵」としていることもまた事実である。来年は伊勢志摩サミット、5年後には東京オリンピックも控えている。果たして日本の情報機関の「備え」は万全なのか。

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「中東関連の情報収集は、日本だと公安調査庁や警視庁の外事3課、警察庁の警備局外事情報部国際テロ対策課などがあたっています」(軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏)

 公安調査庁、通称「公調」では、調査第1部が国内情報、調査第2部が国外情報を担当している。

「第2部の中には、第1課、第2課、第3部門、第4部門、第5部門とあり、国際テロを担当しているのは第5部門。そこでは20名ほどの職員が、全国の公安調査局の国際テロ担当者たちが拾ってくる情報の分析を行っています」

 と、公安関係者。

「現場の担当者は極めて地道な作業によって情報を集めています。例えば、モスクやハラールショップに通って協力者を獲得する。で、うまく協力者獲得に成功したら、イスラム教徒のコミュニティの中で、過激な発言をしている人聞や過激派との関係が噂されている人間がいないかどうかを報告させるのです」

 公安事情に詳しいジャーナリストによると、

「公調では最近はアラビア語が出来、イスラムに関する知識が豊富な人間にSNSなどネットでの情報収集を依頼するケースも多い」

 一方、警視庁の外事3課、通称「ソトサン」には、肩書を明かして情報収集をする「表班」と、身分を隠して水面下で情報収集をする「作業班」があるという。

「“表班”の情報源は日本人がほとんどです。イスラム圏から帰国した新聞記者、ジャーナリスト、商社マン、NGO職員、大学の先生などに会って話を聞く。“作業班”は身分を隠してムスリム社会に潜り込んだり、イスラム教徒に接触したりすることを仕事にしています」(先の黒井氏)

■台帳を作る

 2年前、東京五輪の開催が決定してから国内のイスラム教徒の実態調査が強化されたという。

「警視庁の外事3課だけではなく、全国各都道府県警察の本部にも国際テロ担当が置かれ、各警察署からの情報を吸い上げています」

 と、黒井氏は語る。

「これは元々は対北朝鮮や中国のために作られたシステムですが、今では中東関係のチェックも行っている。具体的には、各警察署の管轄地域にイスラム教徒が何人いて、どこでどういう仕事をしていて、どんな人物をなのかを調べて台帳を作っているのです」

 こうした地道な情報収集と同様に重要なのが入管での水際対策。法務省は目下、「バイオメトリクス」と呼ばれる顔画像照合システムの導入を検討している。

「うっすら見えてきた『地下組織』の衝撃 『イスラム国』大規模テロの不穏な幕間」より

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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