「片道上限3000円で国内どこでも行けるように」日本を変える提言が話題
日本列島に活力をもたらすため「『片道上限3000円』で日本中どこでも行けるようにする」との大胆な提言が今月18日に発売された「新潮45 12月号」誌上で行われ、話題を呼んでいる。同誌の「全国どこでも『運賃上限3000円』プラン」と題された記事で河合雅司氏が発表した案だ。河合氏は産経新聞の論説委員や大正大学の客員教授として少子高齢化問題や地方都市の老化を食い止めるための積極的な提言を行っている人物である。
この提言の根底には政府の「地方創生」政策に対し、全体のパイが減ってゆくのに地方での定住が進むわけもないという地方自治体の「諦めムード」があるという。人口減少社会を前提とした方策を考えなければならないと河合氏は述べている。そのうえでこの方策の効果をこう論述する(以下《》内は同記事からの引用)。
《鉄道も航空機も「片道上限3000円」ならば、人々の移動は活発化するだろう。“消滅”が言われる地方に定住人口の減り分を埋めて余りあるほど人々が訪れるようにすることで“存続自治体”に転じさせるのだ。日本列島を縦横無尽に人々が動き回るようになれば、経済は活性化し活力がみなぎる。「地方」の既存概念を根底から打ち崩す挑戦でもある。》
河合氏はこれにより「二地域居住」が加速し、ビジネスや老親の介護の光景が変わるという。実際に格安航空の就航が、経済的に余裕のない学生や若いビジネスマンの里帰りを促進している現実もある。これがリニアや新幹線などの鉄道、さらに多くの航空便にまで広がれば「地方」は「地方」でなくなる可能性もある。
同記事では最大の問題である運賃低廉化の財源はどうするのか、その疑問にも答えている。河合氏は社会全体を黒字化するために、消滅の可能性のある「地方」に政府が地方創生のための税金を投入するのではなく、運賃の低廉化により人の流れを変える方が重要だと述べている。
あまりに突拍子もない提言だと感じる人もいるだろう。しかし河合氏は「(この提言は)激変期にある日本社会の作り替えの一歩である。生半可な発想の転換では、人口激減の時代を乗り越えることはできない。」と論を締め、大胆な方策を示すことで国民的な議論が沸きあがることを期待しているのだろう。
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