難民偽装のテロリストを予想しない大新聞の平和ボケ
「地獄への道は善意という名の絨毯で敷き詰められている」(サミュエル・ジョンソン)。日本政府が難民の受け入れに冷たいと論陣を張った「朝日」や「毎日」は、この厳しい事実をどう受け止めているのだろうか。まさか、イスラム国の兵士が、難民に偽装している可能性を予想もしなかった?
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パリのテロ事件が、EUの難民政策に新たな難題を突き付けている。7人の実行犯のうち複数が難民を装ってフランスに入国していたことが分かったからだ。
「市内のスタッド・ド・フランスで一番最初に自爆テロを起こした犯人は今年の10月3日にトルコに近いギリシャのレロス島に上陸し、そこで難民登録をしていることが分かっています。また、バタクラン劇場に残された犯人グループの所持品からも、シリアのパスポートが見つかっている。現在、ギリシャ政府が確認中ですが、この2人はテロ目的で難民を装った可能性が高いのです」(外信部記者)
ご存じのように、シリア内戦に端を発した難民問題は、今やEU全体を揺るがす問題になっている。今年9月にドイツのメルケル首相が80万人の受け入れを表明すると、フランスも背中を押されるように2万4000人の受け入れを表明。シリアのパスポートさえ持っていれば容易にEUに入れるようになったことから、雪崩(なだれ)をうって“難民”がEUに駆け込んでいるのだ。
これに勢いを得たのか、「朝日」は、日本政府の対応の遅さを度々批判する。いわく、難民申請をしている外国人5000人のうち11人しか認定されていないと。さらには、元国連難民高等弁務官の緒方貞子氏まで担ぎ出して、政府批判をさせる始末だ。
〈島国を守っていくということだけで来たからでしょう。島国根性的なことは変わっていないと思いますよ〉(9月24日)
〈日本のシリア情勢に対する無知じゃないの。全然知らないからですよ〉(同)
もっとも、その5000人の申請者の大半が、とても“難民”とは言えない人たちであることは、本誌(「週刊新潮」)で報じたとおり(11月12日号)。
EUでも、奔流のように入ってくる難民にハンガリーなどが猛反発しているが、テロ事件を受けてオランド仏政権も非常事態を宣言。捜査の必要性と、新たな難民の流入を防ぐため国境を閉鎖した。国家として当然の措置だが、それを朝日はこう評している。
〈国境を閉じる「鎖国」はテロを封じ込めるには有効ではない〉(11月15日付、ヨーロッパ総局長・梅原季哉氏のコラム)
〈世界をリードする人権国家としての誇りも忘れずに、この難局を乗り越えてもらいたい〉(11月15日付社説)
それで、どうしろと言うのだろうか。犯人グループの中に“偽装難民”として入国した者がいることが分かった今、「朝日」も緒方氏もその処方箋を示せないのなら、あまりにも無責任である。
「特集 7人のテロリストで死傷者480人 自爆の爆薬は『魔王の母』 パリを硝煙の都に変えた『イスラム国』に次がある!」より
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