「松井一郎」大阪府知事の人気取り「退職金廃止」の裏で給料アップ
大阪維新の会が掲げる「一丁目一番地」の政策は、「身を切る改革」だという。もっとも、彼らには常に「ポピュリストの典型」との批判が付いて回る。松井一郎大阪府知事がブチ上げた「府知事の退職金廃止」の結末を見れば、何をか言わんやである。
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まずは11月22日投開票の大阪府知事選を予想すると、
「各マスコミの情勢調査では、どれも松井さんが、自民党の推薦する栗原貴子さんに大差を付けている。圧勝は確実でしょう」(政治部デスク)
その松井知事が街頭演説で盛んに口にするのが、「身を切る改革」というフレーズ。つまり、自らの報酬カットである。府政担当記者が言う。
「現行の府知事の報酬は給料約130万円、ボーナス605万円、退職金約1200万円です。松井さんは、財政難を理由に、給料・ボーナスを30%、退職金を50%カットしている」
だが、松井知事はこれだけでは不満だったらしい。今年6月、今度は約1200万円の退職金を廃止すると言い出したのだ。
「その後、知事の退職金を検討する有識者会議が5回にわたって開催。結果、退職金をやめ、その分を毎月の給料に上乗せするよう求める答申・意見具申が行われました」(同)
■府民を愚弄
つまり、退職金をなくす代わりに、1200万円を48カ月(1期4年)で割って、現行の130万円に上乗せ。給料は、逆に約20万円アップし、150万円になる。その上、給料をもとに算出されるボーナスも年間100万円程増えることになる。
47都道府県知事の1期あたりの退職金の平均額は約3560万円。大阪府の1200万円は全国最低額で十分低い。大阪府庁の職員が解説する。
「有識者会議の委員からは、『退職金ゼロは、松井知事の選挙に利用されるだけ』との反対意見も出た。ただ、知事から退職金の廃止を含めた検討をするよう要請されている審議会としては、最終結論を廃止に持っていかざるを得ない。その一方、退職金がなくなると、任期中の総収入が他の知事と比べ著しく低くなり、今後、知事の成り手もいなくなるからね。そこで、民間企業がやっている手法を取り入れ、退職金を給料に振り分けすることにしたのです」
ジャーナリストの大谷昭宏氏は手厳しい。
「キャッチフレーズとして『退職金ゼロ』といえば、府民はなるほどなと思うかもしれない。しかし、今回のは、数字上の誤魔化しと言わざるをえません。大阪の人がいくらお金に敏感だからとはいえ、府民を愚弄するやり方です」
その上、在阪のジャーナリストもこう指摘する。
「松井さんは府議時代、電気設備工事会社の社長を務めていた。現在は、弟が後を継いでいますが、知事を辞しても食うには困りません。退職金をなくしたところで、痛くも痒くもない。最近は、政務活動費の不正支出で問題を起こす維新の市議が相次いでいる。パフォーマンスに過ぎない身を切る改革をやるより、身内に税金の使い方を教えるべきでしょう」
松井知事は、究極のポピュリスト、いやエゴイストかもしれない。
「ワイド特集 ふとどき者ほどよく眠る」より
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