尼崎事件・角田美代子“右腕”の供述調書120枚(4) 「美代子はカルト宗教の手口を学んだ」

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 8人の命を奪い、未だ5人以上が行方不明のままである「尼崎事件」の主謀者・角田(すみだ)美代子。彼女を“右腕”として支えた「マサ」こと李正則(41)の一連の調書には、美代子の家族破壊の手口を詳述している箇所がある。いずれも尼崎東署に場所を移して12年11月20日に録取されたものだ。

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「尼崎事件」の人物相関図

 該当箇所を抜粋すると、

〈標的となった相手家族の中の子供を言葉巧みに信用させ、親のことを本気で嫌いにさせて決別させ、自分の養子等に取り込む〉

〈(虐待は)美代子が手本を示します。具体的には髪の毛を掴み引きずり回したり(中略)正座をさして頭を押さえ、両耳を平手で何発も殴る、タバコの火をまぶたや顔に付ける等で、ガスバーナーで髪の毛や陰毛、顔を焼かれた人もいました〉

 さらに、そうした美代子の振る舞いには「参考書」があったのでは、とも指摘している。正則自身が神戸刑務所に移送される前、拘置所の中で読んだというスティーヴン・ハッサン著『マインド・コントロールの恐怖』(恒友出版)がそれである。

■好きな本のジャンルは、皇室と心理学関係

 著者は米国の統一教会元幹部で、脱会後はカウンセラーとして活動。95年には、オウム真理教事件の調査のために来日した、カルト問題の第一人者である。正則は、美代子の手口との類似点を本から抜き書きしてノートに控えていたといい、同年11月2日付の調書では、

〈私が同じだと感じた内容については、次のとおりで、内容の後の括弧書きは私が思ったこと等です〉
 
 と前置きしながら、

〈自分の過去の生い立ち、仕事、趣味、友人を色々聞き出す(同じ)。人々の願望をもてあそぶ。約束するものを提供しない。皆を罠に掛け自尊心を壊してしまう(同じ)。目標達成のためには、たとい一晩中起きていることになるとしても、やむを得ない(同じ)。こういう人に係わったために人格の急激な変化を起こした人がいないだろうか(私)〉

〈気になったのは、この本の中で「やめい」「おまい」という言葉が使われていたことで、この言葉を美代子もよく使っていたのです。「やめい」というのはやめろの意味で、「おまい」はお前の意味。私も尼崎市出身ですが、このあたりではあまり使わない言葉なので前から気になっていました〉

〈この本を読んでいるところを見たことはありませんが、あまりにも美代子がやって来たことと同じです。このような本を読まないで自然と身につけたものなら美代子は「悪魔」としか言いようがないと思います〉

 そう結んでいる。

 実際にファミリーに身を置いていた、ある人物が明かすには、

「美代子が好きな本のジャンルは、皇室と心理学関係。時間のある時は、だいたい読書かテレビショッピングをして過ごしていました」

「特集 尼崎の大量殺害事件発覚から3年! 殺戮の女帝『角田美代子』暴力担当の供述調書120枚!」

週刊新潮 2015年11月19日号掲載

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