王者「カップヌードル」に一泡吹かせた「マルちゃん正麺」

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 今年、経済界では何度か“下剋上”が起きた。例えば、第一生命が日本生命を、伊藤忠商事が三菱商事を抜いて業界トップに。そしてカップ麺業界でも、新王者が誕生したという。

“マルちゃん”のトレードマークで知られる東洋水産が11月5日、ホームページ上に掲載したニュースリリースは食品業界に衝撃を与えた。

〈当社カップ麺史上最速となる、発売から約1ヶ月で100万ケースを達成〉

 最速記録を達成したのは、10月5日発売の『マルちゃん正麺 カップ』。4年前に発売した袋麺のカップバージョンで醤油、味噌、豚骨味の3種類がある。ちなみに、希望小売価格205円(税別)、1ケース12カップで計算すると、売り上げは24億6000万円に上る計算だ。

「東洋水産は、これで業界1位になりました」

 こう語るのは食品ジャーナリストだ。

 カップ麺市場は約4070億円。『マルちゃん正麺』の売り上げは、その1%にも満たない。なぜ、業界1位なのか。

「市場占有率は、トップの日清カップヌードルでも2%台後半。それが『マルちゃん正麺 カップ』の“芳醇こく醤油”は3%弱を占め、僅かながら“王者”を上回ったのです」(同)

 トップに立った東洋水産のCSR広報部に聞くと、

「今までにない麺の食感がお客様に支持されたのだと思いますが、業界1位になったとは考えていません」

 と、あくまでも謙虚なのだ。業界紙記者がその理由を解説する。

「カップヌードルを抜いたのは、発売後1週間。つまり、瞬間風速なのです。日清も新商品を投入するので、この好調がいつまで続くかわかりません」

 カップ麺だけに“3分間天下”だったかもしれないが、王者に一泡吹かせたことは間違いない。

週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載

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