お金がないから「テレビCM」はキャンセルになった「大阪維新の会」

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 不仲が高じて三行半(みくだりはん)を突きつけたものの、銀行口座は凍結され、アテにしていた給料も下ろせず、借金の返済は滞るばかり――。離婚協議中の夫婦もかくやという醜態を演じている「維新の党」。わけても、剣ヶ峰のW選挙を目前に控えた“大阪側”には、銭闘のツケが重く伸し掛かっている。

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カネの切れ目が……

 大阪維新の会に所属する市議はこう嘆くのだ。

「都構想の住民投票ではホンマにぎょうさんお金を使いましたからね。今回が資金不足なのは否めませんわ」

 一方的に解党を宣言した維新の大阪側にとって、今月22日に迫った大阪府知事・市長のW選挙は今後を占う大一番である。どちらも自民党推薦候補との一騎打ちとなるのは確実。政治部記者が情勢について語る。

「世論調査では、府知事選は松井一郎知事が10ポイント近くリードしています。一方、市長選は激戦が予想され、維新の吉村洋文前代議士が出遅れている。都構想への再挑戦を掲げる維新としては、5月の住民投票で敗れた大阪市での連敗は許されません」

 となれば、総力戦は必至のはずだが、

「維新が金欠なのは明らかです。実は、今回の選挙に向けて準備を進めていた関西ローカルのテレビCMも、放映前にキャンセルとなりました。どうやら広告代理店への未払いが影響しているようでして……」

 そう明かすのは在阪のテレビ局関係者である。

■9本が“ゼロ”本に

 先の住民投票では、大阪維新の会の橋下徹代表が、都構想の意義を有権者に語りかける内容など、実に9本ものCMを放映している。それが、今回の選挙戦では“ゼロ”本。住民投票は一般の選挙に比べて公選法の縛りが緩く、CMを制作しやすいのは事実だが、十八番の空中戦が一切封じられた格好なのだ。

 その背景を“東京側”の維新議員が解説するには、

「最大の原因は、橋下さんたちが住民投票の際に湯水のごとく使った総額5億円に上る広告費用。分裂騒動で党の口座が凍結されたため、代理店への支払いが滞っているのです」

 先立つものはおろか、商売相手への義理まで欠いた状況では、新たなCMなど打てるはずもない。

 大阪維新の会に質(ただ)すと、

「そもそも、今回はCM制作を予定していません」

 と回答する一方、問題の負債については、

「維新の党として約5億円の未払いが生じているのは事実です」

 深刻な金欠の影響はCMだけに留まらない。

「住民投票は維新の一丁目一番地である都構想が争点やったので、各区の支部に300万円ほどの予算がついた。ただ、今回は完全に手弁当で、告示後にビラを1枚も配れてへん支部まであった。業者にも頼めず、本部から応援を回す余裕もないんです」(前出・市議)

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏によれば、

「維新の党にとって今回の選挙の命題は、地方議員の食い扶持を確保すること。もし2敗すれば“住民投票にもW選にも負けて、どうするつもり?”と有権者から非難され、都構想は頓挫する。“これでは食っていけない”と感じた地方議員が大量離党しかねません」

 貧すれば鈍するを地で行く維新を、カネに厳しい大阪人が見限る日も近い。

「ワイド特集 残念なお知らせがあります!」

週刊新潮 2015年11月19日号掲載

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