恩師に抱いた初めての疑問──『湯川博士、原爆投下を知っていたのですか』
広島の爆心地で被爆して死線をさまよった青年が、いかにして“原子力村のドン”と呼ばれるようになったのか
“原子力村のドン”と呼ばれた森は、晩年になって、ひとつの謎に苛まれていた。父母係累を一瞬にして喪い、自身も爆心地で被爆した昭和二十年夏の広島。あの日、あの場所に“特殊爆弾”が落とされることを、恩師の湯川秀樹は知っていたと聞かされたのだ。自分の原子力人生を決定づけた恩師の真意は、いったい何だったのか。
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(※本書評は単行本『湯川博士、原爆投下を知っていたのですか』刊行当時のものになります)
「森一久」という名前を聞いてピンとくる人は果たしてどれほどいるだろうか。...