『ギャラクシー街道』大苦戦で問われた「三谷幸喜」才能の限界

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“時間とお金を返せ”“三谷作品一番の駄作”“役者が気の毒”と、まぁ、映画レビューサイトでは『ギャラクシー街道』に対する酷評の嵐が吹き荒れている。とはいえ、監督は来年1月スタートの大河ドラマで脚本を手掛ける巨匠・三谷幸喜。ネット上の評判だけで判断するのは性急と、劇場を訪れたものの、目につくのはやはりアラばかりで――。

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新作映画が酷評されている巨匠・三谷幸喜

 公開1週目に当たる10月30日の金曜日、有楽町マリオンのTOHOシネマズに足を運んだところ、上映前の客席に漂っていたのは期待感ではなく、不穏な空気だった。900席を超える“大箱”ながら、観客は30人ほど。スポーツ紙の芸能デスクによれば、

「公開初日の時点では配給元の東宝の鼻息も荒く、前作『清須会議』を上回る興行収入30億円超えを見込んでいました。ただ、第1週の観客動員数や興収は、前作の5割程度。このままでは12億~13億円が関の山と囁かれているのです」

 本作は三谷監督が初めて挑んだSF作品で、ロマンチックコメディーと銘打たれている。宇宙空間に浮かぶハンバーガーショップを舞台に、香取慎吾と綾瀬はるか演じる経営者夫妻と、客として訪れた宇宙人たちが繰り広げる群像劇だ。

 興収はともあれ、観客としては映画の出来に満足できれば問題はない。

 だが、実際に鑑賞してみると……、残念ながら泣けも笑えもしないのである。

■過去最低

「フタを開けてみればロマンチックとはほど遠い“下ネタ”のオンパレードでした。宇宙人の娼婦を斡旋するポン引き役の山本耕史と、客を演じる石丸幹二の会話は下品なだけ。宇宙人との奇妙なセックスシーンも笑いに繋がらなかった」(同)

 両性具有の宇宙人に扮した遠藤憲一は、なぜかSM嬢の衣装で出産シーンまで熱演するが、観ていて痛々しいほどウケていない。

「三谷監督作品としては最低と言わざるを得ません」

 そう断じるのは映画評論家の北川れい子氏だ。

「実際、試写会でもほとんど笑いが起きませんでした。同じ群像劇でも、『THE有頂天ホテル』や『ステキな金縛り』のように、張り巡らされた伏線が回収され、クライマックスヘと雪崩れ込む爽快感は皆無です。細切れになった下手なコントの連続で、西田敏行や大竹しのぶのような芸達者も演技力を発揮できない。豪華キャストを見せびらかして悦に入っているだけに思えます」

 三谷監督と言えば、『古畑任三郎』や『王様のレストラン』といったTVドラマをヒットさせ、映画界に進出したことで知られるが、

「三谷作品は登場人物のキャラクターと膨大な台詞で物語を回すので、TVドラマにはマッチします。画面を見なくても音声だけで筋が追えるほど分かりやすく、若者ウケもいい。反面、心理描写も含め、全てを映像で表現するのが映画の魅力と考える批評家からの評価は低かった。それでも観客からの支持があれば映画としては成功ですが……」(同)

 頼みのファンから見放されては“限界”が取り沙汰されるのも当然なのだ。

「ワイド特集 転ばぬ先に折れた杖」

週刊新潮 2015年11月12日号掲載

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