ガッテンしていただける? 「立川志の輔」紫綬褒章

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“ガッテンしていただけましたでしょーかっ?”

 で知られるバラエティ番組の司会者がなぜ? あるいはペヤングのおっさんがなぜ? と思われた方も。

 噺家・立川志の輔(61)が紫綬褒章を受章した。富山県に生まれ、明治大学の落研では、“大名跡”紫紺亭志い朝の名を先輩・三宅裕司から譲り受けるも、広告代理店に就職。思い直して立川談志に入門したのは28歳、と遅かった。

「しかも、入門直後に師匠談志は落語協会を脱退。志の輔さんは寄席での修業が出来なかったんです」

 とは落語ミシュランこと広瀬和生氏。協会に属していない噺家の受章は初のこと。落語好きにもちょっとした椿事(ちんじ)に思われたのは、

「文楽、志ん生に始まる歴代の受章者は、落語協会や芸術協会、上方落語協会の会長や幹部で、古典一筋の噺家ばかりだったからね」

 とは演芸評論家の吉川潮氏。家元談志は、師匠の柳家小さんが会長を務める落語協会にいわば弓を引いた格好だった。もっとも、小さんは国家に対し弓を引いた二・二六事件では、反乱軍として参加した過去(本人に自覚はない)があるが、人間国宝にまでなっている。

「むしろ、紫綬褒章の規定動〈学術芸術上ノ発明改良創作ニ関シ事績著明ナル者〉に、最も相応(ふさわ)しいのは志の輔でしょう。伝統を現代にという家元の教えを守りつつ、古典のみならず新作にも取り組んできた。家元をして“立川流の最高傑作”と言わしめたほど」(同)

 新作落語『歓喜の歌』は映画、ドラマにもなった。

「毎年1月、渋谷パルコ劇場でひと月通しておこなわれる“志の輔落語”のチケットはあっという間に売り切れる。落語をエンターテインメントとして定着させた功労者ですから、受章は当然。ガッテンおじさんの彼しか知らない人にこそ、観て頂きたい」(前出・広瀬氏)

 受章で余計にチケットが取りにくくなりそうだけど。

週刊新潮 2015年11月12日号掲載

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